子供が将来なりたい職業でYouTuberが上位にランキングされるようになりました。しかし、親世代からもっともなって欲しくない職業もYouTuberです。
YouTuberはそこまで卑下される職業でしょうか。
また、子供がYouTuberになりたいと考えるならどうすべきでしょうか。
目次
将来なりたい職業YouTuber
小学生へのアンケート調査
日本全国の男子小学生1200人に聞いた「将来なりたい職業を」のアンケート結果が学研から発表されました。(2018年9月調査)
【男子中学生に質問】将来なりたい職業は?
1位 プロサッカー選手
2位 YouTuber
3位 警察官
4位 プロ野球選手
5位 運転手
注目を浴びたのは2位に入ったYouTuberです。
現在、小学生もスマホを持つようになり、手軽にYouTubeを観ることができます。YouTuberの人気は留まることをしりません。
親世代の声
しかし、親世代が子どもになってほしくない職業のぶっちぎりはYouTuberです。週刊誌SPAでは、親の声を載せていました。一部を抜粋してみましょう。
「 ネットに動画を流すだけで楽して稼げるなら、何でもアリになるのは悲しいです」(32歳・専業主婦)
そもそも、ネット動画で楽して稼ぐことができるのでしょうか。
短い時間で視聴者の心を捉える構成を作るのがいかに難しいかは、すこしでもブログやYoutubeに挑戦すればすぐに理解できます。
こんな声もありました。
「一生続けていける仕事ではないから」(32歳・会社員)
確かに、YouTuberを職業として一生続けることは困難でしょう。
では、どのような仕事なら一生続けることにできるのでしょうか。
親世代が子どもになって欲しい職業は、『大企業の会社員』です。
終身雇用の崩壊
そもそも、『大企業の会社員』は、地位であり、職業の内容を指しているのではありません。しかも、『大企業の会社員』という地位だけで、一生続けることはもはや不可能となっているのです。
経団連会長である日立製作所社長の発言を引用してみましょう。
正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。
中西宏明 経団連会長
また、日本で時価総額最高であるトヨタ自動車社長の発言も話題になっています。
雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。
豊田章男 トヨタ自動車社長
トヨタ自動車や日立製作所という日本を代表する企業が、終身雇用の終焉を発言することになっているのです。
人工知能(AI)によるホワイトカラーの失業
そもそも、人工知能(AI)が発達し、もっとも雇用が奪われるのはホワイトカラーに他なりません。つまり、専門性のない『大企業の会社員』の雇用がもっとも危機に瀕しているのです。
人工知能(AI)時代の職業
人工知能時代で躍進する職業
では、人工知能(AI)台頭の中で、どのようなスキルの価値が高くなるのでしょうか。主に2つのカテゴリーに分けることができます。
① ホスピタル系
② クリエイティブ系
の2つです。
ホスピタル系
①のホスピタル系は、看護師や保育士のように女性に多いピンクカラー系が、ホスピタル系の職種に他なりません。
人工知能が、保育士のように子供をあやすことができるでしょうか。人工知能が、病人の看護を行うことができるでしょうか。不可能です。
ホスピタル系の職種については、以前、薬剤師の記事で紹介しました。
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クリエイティブ系
②のクリエイティブ系の仕事も人工知能が取って代わることはできません。
人工知能(AI)が、ベートーヴェンの交響曲第五番『運命』やジョン・レノンの『イマジン』を作曲できるでしょうか。
人工知能(AI)が『ハリーポッター』を書くことができるでしょうか。
人気YouTuberのような視聴者の琴線に触れる動画を作成することも、人工知能には困難です。
YouTuber台頭の背景
時代の変化を感じ取る若者
では、どうしてYouTuberは、親世代からそこまで忌み嫌われるのでしょうか。
それは、時代が変化するときには必ず出現する現象に他ならないのです。若者は、時代の変化を敏感に感じ取ります。一方、旧世代は崩壊寸前のかつての主役の威光を引きずり、時代の移り変わりに気がつかないのです。
時代の変化による新しいメディア台頭
新しい技術や世の中の変化により、新しいメディアや娯楽が台頭していきます。
その時、真っ先に市場を切り開いていきくのは若者です。逆に、年配者は、冷ややかな視線を下していきます。
まさに、現在のYouTuberをとりまく状態に他なりません。
メディア産業の覇権
インターネットの普及し、個人が動画をアップするプラットフォームが成立しました。中でもYoutubeは圧倒的な影響力を誇ります。現在、YouTubeには多くの参入者が集まり、巨大コンテンツを形成しています。
YouTube興隆により、従来のテレビ局の影響力は低下の一途をたどっています。もはやテレビ局には、世論を自在に誘導した面影はなく、信頼も失墜しています。
メディアの覇権は、テレビ局から、ネット企業に移りました。しかし、旧世代は、崩壊に瀕しているメディアの幻影を盲信しているのです。
娯楽の栄枯盛衰
アニメ産業の黎明期
現在、巨大マスメディアは崩壊しつつあります。しかし、マスメディアにも黎明期がありました。その時に、参入したのも若者でした。
20世紀初頭のメディア産業勃興とともに、アニメ産業も発祥しました。
初期のアニメは、映画の合間に1分ほどのコント映像に過ぎません。観客の暇つぶしのための映像でしかなかったのです。当然、アニメ産業は、年配者から軽視され、嘲笑の対象となる職業でした。現在、YouTuberと同様です。
アニメに活路を見いだす若者
そのようなアニメ産業に、漫画家の青年が活路を見いだしました。しかし、起業するも2回とも失敗します。資金を失った青年は、夜になるとゴミ箱にねずみが来るような事務所で再起を図ります。
青年は、そんなネズミを愛情のある眼差しを注ぎます。そうして、ネズミの仕草から新たなキャラクターが生まれたのです。『ミッキーマウス』です。その青年こそ、成功前のウォルト・ディズニーに他なりません。
映画やアニメの発達により、かつて娯楽の王様であった演劇やオペラは衰退の一途をたどっていくことになりました。
近代演劇勃興の時代
映画やアニメに破れることになる近代演劇も、勃興の時期がありました。そのときに、参入したのも若者でした。
16世紀のイギリス、エリザベス女王時代です。女王の優れた統治によりイギリスの国力は次第に高まっていきます。豊かになった首都ロンドンでは演劇が爆発的人気を得るようなりました。
当時劇団は、街から街へと移動し興業を行う流れ者の集団に過ぎません。良家は子弟が演劇界に熱狂することに顔をしかめます。
しかし、一旗揚げようと多くの若者が演劇界に参入しました。
嘲笑される中卒の脚本家
実家が落ちぶれて中学校しか卒業できなかったある青年も、演劇団に入り俳優となりました。その後、俳優のかたわら自ら脚本も書くようになり、好評を博すようになったのです。
しかし、中学卒という低学歴から、知識人から『成り上がりのカラス』と嘲笑されます。しかも、彼の作品には亡霊や魔女も登場します。荒唐無稽な登場人物に文壇は低評価を下します。
観客の絶大な人気
しかし、観客からは絶大な人気を博することになります。
詩的なセリフ、息もつかせぬスリリングなストーリーの展開、自分自身を投影できる生き生きとした登場人物。
文壇からの批評を無視し、ただひたすら観客のために脚本を作りつづけたのです。
一体どのような作品だったのでしょうか。400年以上経過した現在でも一度は、耳にしたことがあるかもしれません。代表作は、
『ハムレット』『リア王』『マクベス』です。
低学歴を嘲笑された脚本家こそ、史上最高の文豪シェイクスピアに他ならないのです。
死後、高まる評価
生前、シェイクスピアは『ラテン語を少々と、さらにわずかなギリシャ語しか知らない』と無教養を揶揄されていました。
しかし、没後、人気のみならず、評価も高まっていきます。
19世紀になり、シェイクスピアは『イギリスの精神的豊かさの象徴』となっていきます。
そうして、ギリシャやローマ時代の古典をも完全に咀嚼しないことには、創作は不可能とも言われるようになるのです。
そのため、田舎者で無教養な人物がシェイクスピア劇を創作できるのかと疑問が呈されるに至ります。さらに、シェイクスピアは別人説も浮上します。喜劇王チャップリンや、精神分析の祖フロイトですらシェイクスピア別人説を支持しました。
YouTuberへのヒント
人類最高の文豪の研究が進むにしがたい、シェイクスピアは、田舎出身の無教養のシェイクスピア以外にありえないことが判明してきました。
さらに、シェイクスピアの、苦心し、精一杯生き抜いてきた一人の人間としての姿が明らかになってきたのです。まさに、自身が創作したハムレットのように迷い悩みながら生き抜いた人生だったのです。
もしも子供がYouTuberになりたいと言うなら、どうすべきかと多くの親世代は悩むことが多いかもしれません。
その場合、シェイクスピアの人生がヒントになるはずです。
次回、そのシェイクスピアの人生をたどることにしてみましょう。
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