長期投資のメリットである複利を享受するにはマーケットに居続けることが必要です。マーケットに居続けるためにはリスクが少なく永続的の保有できる投資先を選択することが不可欠になってきます。
目次
バリュー投資の誕生と発展
アメリカでは株式投資は学術研究の対象となり、すでに100年近く研究されてきました。その学術研究の蓄積によりリスクを少なくした投資方法が確立されてきました。その1つが『バリュー投資』です。バリュー投資によって厳選された投資対象を保有することでマーケットに半永久的に留まることができるのです。
バリュー投資は、企業の本質的な価値よりも株価が低い時に購入する投資スタイルです。本質的価値よりも安く買うことでリスクを減らしていくのです。
グレアムによるバリュー投資の誕生
バリュー投資はコロンビア大学の教授であるベンジャミン・グレアムよって体系化されました。グレアム以前は体系的な投資方法はなく、市場の雰囲気に流されて売買がなされていました。そのために、株式市場はカジノの様相を呈することになったのです。その結果、1929年の大暴落により90%以上の下落といった壊滅的な株式市場の崩壊が引き起こされることになったのです。
グレアムは、そのような株式市場を冷徹な視点で観察しました。その観察と研究の蓄積により、名著『賢明なる投資家』が生まれたのです。『賢明なる投資家』は、株式投資を学問にまで昇華させた記念碑的な著作です。
グレアムは、著名な投資家であるウォーレン・バフェットの師匠としてより知られています。バフェットは常々、グレアムの『賢明なる投資家』によって株式投資に開眼したと言っています。バフェットは今でもグレアムの教えを忠実の守った投資をしているのです。
バフェットによるバリュー投資の発展
その後、バフェットはそのグレアムの手法を基礎として彼独自のバリュー投資のスタイルを確立しました。
もともと、グレアムは経営の質に関係なく、その保有する設備や資金等の目にみえる資産から企業の本質的価値を計測しました。その計測をもとに、その企業の本質的価値が株価よりも安い場合に買い、それがある程度値上がりすれば売却する手法を行いました。
しかし株価が保有資産よりも安い企業はそもそも収益力が無い企業に他なりません。当然ながら永続的に競争力が持続する企業ではありません。
そこでバフェットは、その企業の経営の質、言い換えると目にみえない価値に注目したのです。それはコカコーラ社のような強いブランドや保険会社のGAIGOのような長期の伝統による信用といったものです。そのような見えないブランドや信用といった価値を企業の本質的価値の中にとりこんでいったのです。そして、ブランドや信用により参入障壁が生じ、それにより競争力が永続する企業に投資対象を絞っていったのでした。その上で、それら企業の本質的価値よりも株価が安い場合に投資し、投資をして取得した株については永久に保有するスタイルへと変貌していったのです。
その投資スタイルによって、バフェットは8兆円の資産を超えるアメリカで第3位の富豪にまで登り詰めたのです。
バリュー投資の研究と実践
コロンビア大学でのバリュー投資の研究
バリュー投資の父であるグレアムと、歴代最高のバリュー投資家であるバフェットはともにコロンビア大学出身です。そのため、コロンビア大学ではバリュー投資の基礎となる参入障壁の研究が盛んです。
また、そのバフェットのバリュー投資の手法はペンシルベニア大学の著名な経済学者 シーゲル博士によっても学術的に研究されてきました。
バリュー投資家の心構え
そのような長年の研究の蓄積から、バリュー投資の有効性が明らかになってきたのです。しかし、それでもバリュー投資を行う投資家は今も昔も少数です。機関投資家の中でもバリュー投資を行っている投資家は5から10%とも言われています。
それは、時流にのってもてはやされている株に背を向けるからです。多くの投資家は時流にのった銘柄を保有することで安心します。それは今後の世界を席巻する最高の株を持っているという満足感が、投資家に強い安心感をもたらすからです。しかし、そのような株の多くは過大評価され、その本質的価値よりも高値がついているものです。当然、バリュー投資の対象になりません。
逆に、売り込まれて、株価が本質的価値より安くなった株こそバリュー投資の対象となります。しかし、そのような株は、問題があるからこそ売り込まれているのです。売り込まれるような株を買うには居心地の悪さを感じ無いわけにはいきません。そのような居心地の悪さに耐えて、永続的に保有する忍耐力がバリュー投資家には必要なのです。
自分の理解できないものには投資をするべきではない。
ウォーレン・バフェット
売り込まれている銘柄を忍耐強く保有し続けるには、投資した企業について理解していることが必要です。その企業を理解し、その製品やサービスに永続性があることに確信をもってこそ、たとえ苦境であっても保有し続けることができるのです。
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