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米国最大の食品流通企業シスコ(SYY)【Amazonの生鮮品参入を無視できる理由】

投稿日:2019/2/9 更新日:

今回、米国最大の食品流通企業シスコ・コーポレーション(SYY)を紹介してみましょう。

食品流通市場は、極めて地味な業界であり、華やかさはありません。しかし、そのような業界だからこそ、栄枯盛衰が少なく長期投資の対象となるのです。

事実、SYYは48年以上連続して増配するという配当貴族銘柄となっているのです。

シスコ・コーポレーション(SYY)

沿革

Syscoは1969年に設立され、翌年の1970年には株式が公開されました。

上場企業としての初年度の売上高は1億1500万ドルでした。

それ以来、SYYは着実に成長し、設立からほぼ50年経過した2018年には売上高580億ドルを超えました。

米国最大の食品流通企業

現在、シスコの顧客は約50万人にものぼり、米国食品流通のトップに立っています。その顧客数は、米国食品流通第2位であるUS Foodsの倍にも及んでいるのです。

従業員数は世界中で約66,500人にも達し、流通施設は300にも及んでいます。そこから、幅広い顧客基盤にサービスを提供しています。そのサービスは、生鮮食品や冷凍食品、飲料のような食品の供給みならず、食器、調理器具、レストランやキッチン用品、クリーニング用品などの食品以外も及んでいます。外食産業を総合的にサポートしていると言っていいでしょう。

顧客層のポートフォリオ

それでは、SYYの顧客をみてみましょう。

レストラン(売上の61%)
ヘルスケア(売上高の9%)
教育・行政(売上の9%)
旅行・レジャー・小売(売上高の9%)
その他(売上高の12%)

「その他」のカテゴリーには、パン屋、教会、市民団体およびその他の団体、自動販売代理店が含まれます。

外食産業が中心であり、小売の割合が少ないことに気がついた方もおられるかもしれません。ウォルマート(WMT)をはじめとする大手小売は直接サプライヤーからのルートを開発しています。それは、小売は低価格が重要だからです。巨大化した小売企業は、その規模を武器にサプライヤーとの交渉が可能となってきたのです。

しかし、外食産業の場合は、直接サプライヤーと交渉するよりも、SYYの食品卸から購入する方がコストが低くなることが多いのです。

買収による成長

米国の外食産業は、長期的には持続的な成長を遂げてきました。SYYの発展には、外食産業の拡大が寄与していることは言うまでもありません。

しかし、それだけではなく買収による拡大が大きく貢献しています。過去49年間で、シスコは100以上の買収を行い、北米で最大の流通ネットワークを構築してきました。

しかし、その買収戦略は壁にぶち当たることになります。

SYYは、2013年に米国第2位の食品流通企業であるUSフーズの買収に合意しました。しかし、2015年に連邦地裁により独禁法違反にて買収を差し止められ、失敗に終わります。

海外での買収

米国内での買収が限界となったために、ターゲットを海外に広げていきます。

2017年に、イギリスのブレーキグループを買収し、ヨーロッパの参入への大きな足がかりをつかみます。

ブレーキグループはヨーロッパで最大の食品流通会社の一つです。英国、フランス、スウェーデン、アイルランド、ベルギー、スペイン、およびルクセンブルクで、生鮮食品、冷蔵食品、および冷凍食品を5万人以上の顧客に提供しています。買収によりヨーロッパにおけるサプライチェーンを補完し、SYYはグローバル企業へ歩み始めました。

 シスコ・コーポレーション(SYY)の競争優位性

『仲介』という立ち位置

米国の外食市場ではレッドオーシャンともいうべき極めて激しい競争が繰り広げられています。参入障壁が極めて低いことから常に新規の挑戦に晒されているからです。このようにして、栄枯盛衰が繰り広げられらてきたのです。

しかし、米国の外食市場は、長期的には拡大してきました。『仲介』である流通企業であるSYYは、栄枯盛衰に晒されることなく、市場拡大の利益を享受してきました。

『仲介』業者がもっとも利益を享受することについては、ゴールドラッシュと似ているかもしれません。

ゴールドラッシュで最も稼いだのは、金の採掘に参入した者ではありません。スコップやジーンズ生産のように金の採掘をさせた企業です。そのゴールドラッシュでリーバイスは急成長を遂げました。

規模

しかし、流通業も激しい競争に晒されています。そもそも、流通業は製品そのもので差別化することができないのです。そのために、利益率は極めて低くなっていきます。

そのような業界で、優位に立つための鍵は、規模が重要となります。規模によりコストを削減し、効率性を追求することができるのです。

現在、SYYは米国フードサービス産業の約16%を支配し、米国で最大規模を誇っています。そのために、他社よりも高い利益率と将来の成長が可能となっています。

食品流通の薄利多売のビジネスモデルは、牛肉、鶏肉、豚肉、その他の食品の価格の上昇や、燃料費の高騰の大きく影響を受けます。しかし、小規模業者に比べ、大規模企業はその変動を吸収できる効率的な運営が可能です。

今回の四半期決算でも、利益の上昇にコスト削減の成功が大きく寄与していることが明らかになっています。

Amazonの生鮮品参入

報道による株価下落

現在、SYYへの投資家にとってもっとも懸念材料は、AmazonのWhole Foods買収かもしれません。Whole Foodsは、比較的高級な生鮮品を中心とした小売チェーンです。2017年6月17日金曜日に買収が報道され 、SYYの出来高は通常の3倍にも及び株価も2%も下落しました。

Amazonが、生鮮品の小売や流通にも参入することになったのです。

Amazon参入が脅威でない理由

しかし、冷静に考えるなら、Amazonの生鮮品参入については現時点では脅威となるものではありません。

それは、AmazonとSYYでは顧客が異なるからです。

Amazonの買収したWhole Foodsの顧客は、一般消費者です。自宅で調理をするために食材を買う人をターゲットにしているのです。

一方、SYYの顧客はレストラン、施設、ホテル等です。自宅外で食事を提供する業者です。

たしかに、自宅で食事をとる消費者は、今後Amazonから生鮮品を購入するかもしれません。

しかし、忙しいビジネスマンをはじめ、外食をせざるえない消費者は外食を続けます。その外食を提供する業者は、Whole Foodsとは無関係なのです。

AmazonとSYYでは顧客が異なる以上、SYYの業績に影響することはないと言っていいでしょう。

ファイナンス

売上・キャッシュフロー・純利益

まず、売上・キャッシュフロー・純利益のグラフを見てみましょう。

売上げは、2017年、2018年と、ブレーキグループの31億ドルの買収により、大幅に増加しています。

流通は、利益率が極めて低いために、キャッシュフローと純利益のみのグラフをみてみましょう。

2016年からフリーキャッシュフローは横ばいでした。

しかし、今回の2019年第一四半期では、フリーキャッシュフローも著明に改善しています。買収コストが一段落し、キャッシュフローが改善してきているのでしょう。

売却を考える場合の指標

SYY長期投資の対象となる企業であり、地道に配当再投資のバイアンドホールドすべきです。

ただし、極めて財務が悪化した場合には売却も検討すべきかもしれません。その場合には、キャッシュフローの減少として出現します。原因は、買収を繰り返してきたことから、負債は膨らんできていることがほとんどです。しかし、少なくとも、現時点でキャッシュフローの悪化は認められません。まだ、売却を検討する必要はありません。

配当

2018年のフリーキャッシュフローに対する配当比率は50%未満でした。これは、配当がフリーキャッシュフローで十分にカバーされていることを意味しており、将来の増配の余地があることを示しています。

SYYは48年連続の年間増配の記録を示しています。今後の増配についても問題がないと思われます。

ただし、SYYは買収により成長した企業です。キャッシュフローを大幅に悪化させる買収を行った場合には、増配が不可能となることもありえます。SYYが大型買収を行った際は、注視すべきです。

結論

SYYは業界のトップとして安定して経営が行われています。それは流通業という市場であることに加え、規模の優位性より他社より高い利益率とコスト削減を実現できるからです。そうして、不況の間でさえも安定した業績を計上し、好景気には、買収を通じて成長してきました。

SYYはバイアンドホールド・配当再投資の対象となる数少ない企業であることは疑いありません。

現在、一時の高騰から下落し、買いやすい株価になりつつあります。下落時に少額ずつ投資する価値はあるでしょう。

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