銘柄紹介

最近30年でもっとも高配当となるペプシコ社【世界第2位の巨大食品企業】

投稿日:2018/5/26 更新日:

 

ペプシコ社(PEP)は、最近の5ヶ月で20%以上も株価が下落しています。その株価は最高値の122ドルから100ドルを切る程度にまで下落しました。

そのように株価の低迷しているペプシコ社に対して、投資をすべき機会かどうかを今回検討していきましょう。

目次

ペプシコ社

世界第2位の食品企業 ペプシコ社

ペプシコーラを販売するペプシコ社。日本では清涼飲料水メーカーとして圧倒的な存在感を誇るコカコーラ社を前に、存在感の乏しい企業と写るかもしれません。

しかし、世界市場ではペプシコ社はコカコーラ社を凌ぐ売上を誇っているのです。その規模は食品・飲料市場でネスレ社に次ぐ売上世界第2位という巨大なグローバル多国籍企業なのです。

清涼飲料水とスナック菓子のポートフォリオ

ペプシコ社は清涼飲料水市場では、ペプシコーラやトロピカーナと強いブランドを保有しています。しかし、その清涼飲料水の売上は半分ほどに過ぎません。

残りの半分はスナック菓子による売上が占めているのです。特にスナック菓子部門では世界最大の企業なのです。

ペプシコ社の沿革

清涼飲料水部門であるペプシコーラ社の創業は、1899年にノースカロライナ州の薬剤師であるキャレブ・ブラッドハムが消化剤の調合したことから始まります。

スナック菓子部門のフリトリー社は、1961年にフリト社とリー社が合併することで成立しました。

そして、1965年の清涼飲料水大手ペプシコーラ社とスナック菓子大手フリトレー社と合併することで現在のペプシコ社が成立したのです。

合併により設立したペプシコ社は、世界中に市場を広げ、今やその市場規模は200カ国以上にも及びます。

その競争力の源泉は、多数の強いブランド商品を保有していることにあります。年間10億以上の売上を誇るブランドは、22にも及ぶのです。

そのような卓越した競争力により、ゆっくりであるものの確実に株価は上昇していきました。

最近のペプシコ社の株価下落

しかし、最近の5ヶ月で20%を超える株価の下落が引き起こされました。

その原因は2つ考えられます。

株価下落の原因1 債券利回りの上昇

まず第1は、債券利回りの上昇です。生活必需品企業は不況にも強く、確実な配当利回りを得ることができます。そのために、債券の代用資産と扱う債券投資家が少なくありません。そのような債券投資家は、債券の利回りが高くなればボラティリティの高い株式ではなく、債券へと投資先を変更していきます。その変更により売りが売りをよび株価の下落が引き起こされたのです。

そのために、今回ペプシコ社のみならず生活必需品銘柄の多くの株価が下落しました。

しかし、企業の競争力が健全ならば、その株価はいずれ回復します。今回のペプシコ社そのものに株価の下落を引き起こす原因が無いかの検討が必要となります。

株価下落の原因2 炭酸飲料離れ

第2の株価下落の原因は、そのペプシコ社そのものにあります。それは、北米で炭酸飲料の売上が低下していることです。

その炭酸飲料の販売の落ち込みは11年連続で減少していることからも一時的な原因ではありません。消費者の嗜好が変化したことを意味してるのです。さらに、最近のソーダ税で更に落ち込みが加速することが懸念されました。その結果、株価の下落が引き起こされました。

北米の清涼飲料水は、ペプシコ社にとって最大の市場であり、売上全体の33%以上を占めています。

今回の2018年第1四半期の決算で、北米で清涼飲料水の売れ行きの落ち込みました。さらに営業利益も2017年第1四半期と比較し2018年第1四半期で22%も減少したのです。

ペプシコ社のイノベーション

そのペプシコ社の株価の回復には、消費者ニーズに合致した商品を開発が必要です。

さらに、北米以外での市場での拡大が鍵となります。特に人口の増加率が高い新興市場での消費拡大が重要です。

消費者の嗜好の変化に合致した商品開発

まずは、炭酸飲料以外の消費者ニーズにあった商品開発及び販売をみてみましょう。

①紅茶飲料;欧州の食品・日用品大手ユニリーバとの提携によりLiptonのブランドを冠した紅茶飲料が販売されています。さらに、Pure Leafというブランドの紅茶飲料も主力商品です。

その売り上げは、過去4年間で21%増となりました。

②乳酸菌飲料(プロバイオティック飲料);乳酸菌をはじめ健康を増進させる微生物が含まれた飲料をプロバイオティク飲料といいます。従来よりプロバイオティク飲料開発に積極的であったペプシコのブランドはKeVitaです。

そのKeVitaは、2018年第1四半期に50%、2017年通年で66%の売上増を達成したのです。

③コーヒー飲料;スターバックスと提携したコーヒー飲料は、 2017年に3%、2017年に4%の売上増をあげました。

そのように、炭酸医療以外の商品群は、ゆっくりではあるものの確実な売上の上昇をもたらしています。その上昇率は、いずれ炭酸飲料の落ち込みを補っていくものと考えて差し支えないでしょう。

北米以外での市場拡張

さらに、北米以外での市場の増減が第2の鍵となります。

その北米以外では、大幅な伸びを見せているのです。

シーゲル博士による『株式投資の未来』では、新興国の成長を取り込むために、信頼性の高い先進国で生活必需品ブランドを保有する企業への投資を推奨されています。まさにペプシコ社は、新興国の成長を取り込むにふさわしい企業といって間違いありません。

今回の2018年第1四半期の決算を確認してみましょう。

北米の清涼飲料水を除くなら、4.6%の売上の上昇を認めることができます。営業利益も、北米の清涼飲料水の落ち込みを除くなら、7%の成長がもたらされているのです。

更に、細分化して確認してみましょう。

売上高の増減 営業利益の増減
北米での清涼飲料水 −2% −22%
北米でのスナック菓子 2% −5%
中南米 9% 17%
ヨーロッパ・中南アフリカ 6% 9%
アジア・中東・北アフリカ 6% 10%

北米では、穀物や原油が高くなってきていることから、スナックについても、売上高は上昇したものの、営業利益は低下しています。

しかし、北米以外では売上高・営業利益ともに強い成長が認められます。特に、中南米では10%近い売上の上昇に加え、17%もの営業利益の増加が認められるのです。

北米以外での市場は順調に成長しているといっていいでしょう。

インド移民女性の現CEO インドラ・ヌーイ

現CEOインドラ・ヌーイは、1990年代から、不健康なスナック菓子や炭酸飲料を中心としていたペプシコ社のポートフォリオをいち早く健康的な食品へと移行してきました。

そのヌーイが2006年にペプシコ社のCEOに就任したことは大きな驚きを持って迎えられました。それは、ヌーイが健康的なポートフォリオを積極的に取り組んだ業績以上に、インドの移民女性であったからです。

しかし、ペプシコ社の判断が正しかったことはその後の実績から明らかとなります。健康的な商品によるポートフォリオと、新興国での市場展開は着実に実を結んできます。ジム・クレーマー氏もアメリカを代表する名経営者の1人としてインドラ・ヌーイCEOをあげています。

株主還元

景気後退期でも安定したキャッシュフロー

ペプシコ社は、食品・飲料水といった確実な需要のある多数の強力なブランドを保有しています。その卓越したブランドから、安定した売上とキャッシュフローが持たされているのです。最近10年の売上利益キャッシュフローを見てみましょう。

 

その食品・飲料水といった商品は、栄枯盛衰が少ないのみならず、景気後退期でも収益の低下がほとんどみられません。

更に、リーマンショックによる未曾有の景気後退期の2007年から2009年をより詳しく見てみましょう。その間におけるペプシコ社の1株当たり利益は以下のとおりです。

決算年 一株当たり利益(ドル) 前年との利益の増減
2007年 3.34
2008年 3.21 3.9%減
2009年 3.77 17%増
2010年 3.91 3.7%増

2008年に3.9%の下落にすぎず、また不況の渦中であった2009年でも17%の上昇に転化しているのです。

46年連続増配

そのような栄枯盛衰が少なく、きわめて不況耐性の強いブランドを擁するペプシコ社は株主に長期にわたる安定した還元をもたらしてきました。それは、46年連続で配当を増額している配当貴族銘柄であることから明らかです。

しかも、ペプシコ社の最近10年間の配当成長率は年間8.9%にもおよびます。 さらに、2018年6月の配当金を15%増やすことを発表したのです。

最近の株価が100ドルを下回る段階で、四半期の配当が15.2%増額されるなら、その利回りは3.80%にも到達します。

30年見られない配当利回りは、ペプシコ社への投資機会

ペプシコの利回りが3.80%を超えた時は果たしてあったのでしょうか。少なくとも最近30年の間では、ペプシコの配当利回りが3.80%を超えていた期間を見つけることはできませんでした。これは現在、ペプシコ社への投資がまたとない機会であることを意味しています。

ペプシコは、世界の清涼飲料水とスナック菓子市場に強い影響を及ぼすグローバル多国籍企業です。

たしかに、債券の利回りの上昇と、北米での炭酸飲料離れという消費者の嗜好の変化は逆風であるかもしれません。

しかし、変化する消費者の嗜好に合う製品の多様化が成功し、確実に成長しつつあるのです。その製品は、失われた炭酸飲料で失ったマーケットシェアが回復することが確信できるほどの力強さです。

さらに、新興国市場でもさらに強い成長がもたらされています。

最近の債券利回りの急騰は、ペプシコ社という偉大な企業へのまたとない投資機会を提供している考えていいでしょう。

応援クリックして頂けると励みになります

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

-銘柄紹介

Copyright© ゆるふわ投資家『鎌倉見物』の米国株投資 , 2023 All Rights Reserved.