最近、子供を持たない世帯が増えています。
私自身も、共働きで子供をつくらないこと決めています。
同じような決断した家庭も決して少なくないでしょう。また、不妊治療が成功せず、子供に恵まれなかった方もおられるかもしれません。
目次
『子どもをつくらない』と公言できない社会
しかし、『子供をつくらない』ことを決めたとしても、そのことをおおっぴらには言うことははばかれることが現状です。それは、価値観が多様化した現在でも、「子供を産むのが当たり前」という考えは根強くあるからです。
女子会で「子供はいらない」と言おうなら、「ありえない!」「親がかわいそう!」「じゃあ何で結婚したの?」と非難されることを経験した方もいらしゃるかもしれません。
また、実家に帰るたびに、「子供はまだ?」「女は子どもを産んでこそ一人前よ」などと言わることも少なくありません。
さらには、不妊治療で何百万円もの治療費を使ったものの、結局妊娠に至らず、子供ができないことに深いトラウマをもっている方もおられるかもしれません。
投資家の視点からみた『子供』
この記事の目的
今回、そのような方のために、子供がいない人生も悪くはないということを投資家の視点から検討してみます。
もちろん、子供がいる喜びもあるでしょう。それは、金銭ではかえられないものに違いありません。
現在少子化が日本の未来に暗い影を落としています、今回の記事は、子供をつくらないことを推奨することが目的ではありません。子供をつくらない選択をした方や、不妊治療がうまくいかず結局子供がいないことで心の中に埋められない隙のある方が、子供がいないからといって人生に絶望することなく、これからの人生を前向きに生きていけるようなることが目的なのです。
経済評論家 森永卓郎氏による男性の3大不良債権
経済評論家の森永卓郎氏は、男性の3大不良債権として、 『専業主婦』『子供』『住宅ローン』をあげています。
まず、その箇所を引用しましょう。
私は以前からサラリーマンにはできれば持たずに人 生を送りたい「3つの荷物」が存在すると主張してきた。その3つの荷物とは、すなわち 「専業主婦」と「子供」と「マイホーム」である。
実際、この3つの荷物は扱いを間違えれば、やがては処 しきれないほどの「人生の三大不良債権」に膨れ上がり、サラリーマンの人生を身動きで きないものに変えてしまうのだ。
『シンプル人生の経済設計』森永卓郎著
いずれ、森永氏の3大不良債権のすべてを投資家の視点から検討していきたいと思います。今回は、そのなかでも『子供』につて検証していきます。
子どもに対する投資へのリターン
投資家としての視点から『子供』について検討するにあたり、投資のリスクおよびリターンを吟味することが必要になります。
ほとんどありえないキャピタルゲイン
まず、投資する場合のリターンが何かを確認します。リターンとは、投資したものを回収手段であり、2つの方法があります。その2つの方法とは、キャピタルゲインとインカムゲインです。
キャピタルゲイン投資とは、値上がりによる回収です。
現在、メジャーリーグで活躍する大谷選手。あるいは大物ルーキーの清宮選手。彼らの日本ハムとの契約金は、1億円と出来高5000万円です。プロ野球協定で上限があり、それ以上の契約金は認められておらずその上限の金額です。ただ、首都圏の人気球団では裏金が10億という噂もあるぐらいです。
しかし、その数は宝くじの当選者よりも遙かに少ないのです。宝くじより少ない確率は、投資家として検討に値しないといっていいでしょう。つまり、『子供』への投資に対するキャピタルゲインはほぼ期待することはできないのです。
インカムゲインの成功率は、ベンチャーキャピタル投資と同じ
次に、インカムゲインと考えてみましょう。キャピタルゲインが得られなくとも、多くのキャッシュフローであるインカムゲインが出資者である両親にもたらされるなら、投資の回収ができることになります。
『子供』が、将来多くのキャッシュフローをもたらすことはありえるでしょうか。もちろん、ありえます。
経済評論家の森永卓郎は、『子供』を不良債権と断じていました。しかし、子供の時点で、回収不能との判断は時期尚早と言わざるえません。子供を持つことが当然となっているからこそ、評論家は反語のつもりでそのように言ったのかもしれません。
では、『子供』への投資がインカムゲインとして実を結ぶ可能性はどれぐらいあるでしょうか。
皆さんは、仕事をして給料を貰っていると思います。その給料の中から、食費や住居費等を出していると思います。その残りを貯金している場合もあると思います。
その貯金や金融資産が多い場合には、両親に渡すこともできます。
みなさんは、そのような余裕があるでしょうか。毎日の生活が大変で、貯金すらままならない状態でしょうか。
あるいは、贅沢しているのにどんどんお金が貯まって仕方ない状態でしょうか。
ジョージ・ソロス氏のように『お金は稼ぐより使う方が難しい』と豪語できるなら、有り余る資産を両親にお返しできているかもしれません。しかし、ほとんどの方は、そんな余裕なんてないのではないでしょうか。
結局、子供への投資が親へのインカムゲインとしてリターンとして返ることもほとんどありません。その確率は、ベンチャーキャピタル投資のような低い可能性しかないのです。
もちろん、『子供』の価値は金銭では計れないという意見もあります。むしろ、リターンとしては、経済的リターンはほとんど無く、『子供』を持つ喜びというリターンしかないと言っていいかもしれません。
子どもを持つリスク
『子供』を持つ喜びといったリターンを考慮する前に、リスクの検討が必要です。
投資家として最も大切なことはリスクの管理に他ならないからです。
教育費と労力
まず、1人の子供を大学まで行かせることで3000万円の費用がかかります。2人ならその倍の6000万円かかることになるのです。
費用のみならず、多くの労力が必要となります。
出産後、夜泣きの時期は、3時間ごとに起こされます。その後、保育園の確保が必要となります。小学生になれば、ママ友とのお付き合いが始まります。PTAも始まります。
そのような多大な労力が必要なことから、妻の収入が減ることになります。 子育てが一段落ついて復帰しようにも、妻のキャリアが分断されることとなり、付加価値の高い仕事を行うことができなくなります。つまりパート程度の収入しかないのです。
逆に、共働きで女性もキャリアを続行するなら、かなりの付加価値のある仕事を続け、そこそこの収入を得られることは間違いありません。
子供が少年Aになるリスク
それでは、費用、労力 収入減以外のリスクはどうでしょうか。
たとえ、1人に3000万円かかったとしても、ベンチャーキャピタルなら、出資者が出資した以上のリスクを負うことはありません。
しかし、子供の場合は、費用以上の責任を親は負うことがあるのです。
民法では、子供が未成年であった場合に、犯罪を犯した場合に、その責任を保護者である両親が負う旨の記載が定められています。子供が犯罪を犯してことで親が損害賠償を負い資産を無くしたケースが数え切れないほどあります。
事実、少年Aの賠償はすべて親が負担しなくてはいけないのです。
ニートになった場合のリスク
更に、社会人になって、自立できずニートになるリスクもあります。親に投資資金の回収分を渡せないのならまだしも、成人になっても親に寄生していくこともあるのです。その間にも当然、費用が発生します。その負担は両親にかかります。そして、老後破産に突き進むことになるのです。
ベンチャーキャピタルは、投資分のお金捨てるだけです。
しかし、子供の場合は、投資家である両親は、更に重い責任を負うこともあるのです。それは、ベンチャーキャピタル投資を凌ぐリスクと言っていいでしょう。
子供を持つことによるリスクとは、子供がいたらかかるであろう教育費、少年Aになった場合の損害賠償、ニートになった場合の費用と極めて高いと言うほかありません。
リスクとリターンを比較する
リスクに対するリターンは、『子供』を持つ喜びにすぎません。
もちろん、そのリスクとリターンを比較して、個人が自分たちで考えて決定すべきです。他人の判断をとやかく言うべきではありません。
私は、バリュー投資家です。バリュー投資家としてもっとも重要な事はリスク管理に他なりません。『子供』を持つことのリスクと、自分自身キャパシティを考慮して、『子供』をもっていないのです。
出産は義務ではない
最後に、『子供』をつくるかどうかで重要なことが1点あります。
出産すれば、『子供』を育てる義務と責任が生じます。しかし、結婚すれば必ず『子ども』を作らないといけないといような決まりはないのです。
反響を呼んだ女優 山口智子さんのインタビュー
かつて、人気女優だった山口智子さん。
彼女がドラマに出ると確実に高視聴率が出るという時代を代表する女優だったのです。その山口智子さんがフラウで『子供』をつくらない理由のインタビューが大きな話題になりました。
「私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです」
『フラウ』
オピニオンリーダーの山口智子さんのインタビューは反響となり、ネット上でもさまざまなコメントが続々書き込まれました。その内容は「子供だけがすべてじゃない」「素敵」「こんな風に言い切るのは勇気がいる」と、多くの称賛の声だったのです。
価値観が多様化した現在でも人前で「子どもはいらない」とおおっぴらには言えない環境で、多くの方が声を潜めていたのでしょう。
『子供』がいなからといって悩む必要なし
たしかに、『子供』が居る喜びもあるかもしれません。しかし、投資家の視点からみれば、『子供』の持つよろこびというリターンとは比べものにならない恐ろしいリスクが口を広げているのです。
『子供』がいる人生だけでがすべてではないと考えるなら、きっと別の人生の途が開かれるはずです。
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