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【衛生用品の巨人キンバリー・クラーク(KMB)】意外にもプライベートブランド耐性が強い理由

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難攻不落の参入障壁を有していたとしても、時代の変換とともにその参入障壁は、容易に参入できる参入障壁と化してしまうことがあります。

時代の変遷にも耐えうる参入障壁を要するかどうかのもっとも信頼できる基準の1つが連続増配記録です。

世界的な衛生日用品企業Kimberly-Clark(KMB)

連続増配企業

今回、連続増配企業である衛生用品大手企業であるKimberly-Clark(KMB)を紹介していきます。

Kimberly-Clark(KMB)は46年連続で増配をしています。現在の配当利回りは3.4%と、S&P500の平均配当利回り2%をはるかに上回っています。

Kimberly-Clark(KMB)の創業と発展

KMBは1872年に新聞紙の製造のために創業しました。

その後、日用品メーカーとして変貌していきました。ただし、創業が新聞紙製造であることから、紙製品の日用品が中心となっています。紙製品であるペーパータオル、おむつ、ティッシュなどを含む幅広い製品を製造しています。

さらに、地理的な面でも現在は175カ国で事業を展開する世界的な日用品メーカーとなっています。

KMB製品のポートフォリオ

製品は衛生用品を中心とし多岐に及んでいます。しかし、多様なポートフォリオも事業セグメントは3つに分けることができます。

① パーソナルケア(売上高の50%)
② ティッシュ(売上高の32%)
③ K-Cプロフェッショナル(法人用製品・サービス)(売上高の18%)

KMBのパーソナルケア部門には、紙おむつのHuggiesやPull-Ups、生理用品Kotex、介護用おむつDependおよびPoiseのようなブランドが含まれています。これは同社の最大の事業セグメントです。

コンシューマティッシュ部門には、Kleenex、Scottが含まれ年間売上高の約3分の1を占めています。ティッシュを初めて製造してメーカーであることから、強いブランド力を有しています。日本ではKleenexが知られています。

K-Cプロフェッショナルは、ビジネス顧客に製品やサービスを提供する部門です。

飲食店での衛生商品や、ビルのトイレの衛生管理サービス等です。一度依頼すれば、法人は業者を変えることはありません。さらに、ビジネス顧客へのサービスは先進国での開拓余地があります。

決算

決算を見てみましょう。

売上は安定していますが、成長はしていません。

ただし、売上と営業キャッシュフローが15%程度もあります。それは、KMBが保有する製品のブランド力は確保されていることを意味しています。

KMBの競争力

ブランド力(意外の高い競争力)

おむつ、大人の衛生用品などは成熟している市場です。さらに紙製品が中心であることからコモディティ化しているように思われるかもしれません。しかし、意外にも伝統的なブランドが強い価格決定力を保有している部門なのです。それは、紙製品という側面ではなく、衛生用品という側面を重視すれば理解することができます。

こどもの紙おむつの品質が良くないなら、すぐにおもつかぶれが引き起こされます。また、生理用品での吸収力が不十分なら、不快感から集中力が大きく阻害されてしまいます。その結果、日常の仕事や業務に大きく支障をきたすこともあるのです。

衛生用品では、品質が非常に重要なのです。

だからこそ、売上/営業キャッシュフロー比率について、コモディティ産業ではあり得ない15%という高い数値がはじき出されているのです。

ただし、日本ではKMBの製品になじみがありません。そのために、そのブランド力を実感として認識することができません。しかし、同じように日本の紙による衛生用品で強い競争力のあるユニチャームと照らし合わせるなら、KMBの競争力も理解できるかもしれません。

ユニチャームの紙おむつや生理用品、ウェットティッシュは、消費者からの強い支持があります。そのユニチャームをグローバル企業と考えらえっるKMBに、高いブランド力と競争力があることは想像できることでしょう。

だからこそ、KMBには、プライベートブランドに対する高い耐性があると考えられるのです。

規模によるコスト削減

売上/営業キャッシュフローの比率が15%であることは値は、KMBのブランド力による価格決定力が健在であることを意味しています。

しかし、それ以上に世界的グローバル企業であることから、規模のより損益分岐点が低くすることができるのです。

たとえ、他社が同様の品質の製品を利益を度外視して製造したとしても、KMBがグローバルな規模からコストを低く製品を製造し、利益を出すことができるのです。それは、プライベートブランドブランドの企業に対する強い参入障壁となっています。

さらに、工場は人件費の安いアジア地域に建てられています。以前なら、中国でした。中国での人件費が上昇していることから、現在は東南アジアにシフトしつつあります。いずれアフリカへの工場建設へと移行することでしょう。

原材料高騰と原油高によるコスト圧迫

しかし、そのようなコスト削減でも制御困難なコストの上昇が出現してきました。

それは、インフレによるパルプ原材料である木材の高騰および、原油価格の急上昇です。そのため、2017年末から2018年にかけて、KMBの株価は大きく下落してきました。今後のKMBの利益に大きな打撃を与える可能性があります。

KMBは、一部の人員削減および工場閉鎖により今後3年間で20億ドルのコスト削減を目指しています。

売上増加への道筋

しかし、コスト削減だけではなく、売上の上昇が必要です。

KMBの魅力的な成長地域の1つは、中国などの新興市場です。新興市場は、人口が多く、経済成長が高い地域であり、グローバル企業にとって非常に魅力的です。

発展途上国および新興市場の収益が、2013年から2015年にかけて年率14%の増加となりました。最近の成長は減速していますが、それでも売上高と販売数はともに増加しています。

たしかに、KMBの衛生商品がプライベートブランドへの耐性が強いことは疑いありません。しかし、それでも、途切れのなおプライベートブランドによる浸食から、先進国ではその成長は低下しつつあります。むしろ、わずかに減少しているといっていいでしょう。その低下分を新興国での増加が補っている図式が続いています。

以前は、先進国の下落分を新興国で補うことは困難でした。それは、先進国と発展途上国の格差が著しかったからです。しかし、新興国の国力が増大するに従い、新興国での増加分は先進国での下落を凌駕しつつあります。

発展途上国および新興国市場は現在、年間収入の29%を占めています。 その新興国でKMBは、多くの主要商品カテゴリーでリーダーシップを発揮しています。

例えば、紙おむつの量産出荷は、中国では26%、昨年は東欧で10%増加しました。その中国ではP&Gの紙おむつパンパースのシェアが低下しつつあります。P&Gの低下といれかわり、KMBと花王がシェアを上げているのです。

景気後退期に対する高い耐性

KMBへの投資にあたり、有利な点の1つとして、景気後退期に対する強い耐久性があります。KMBは非常に景気後退に強い企業です。不況時でさえ、同社は高い収益性を維持しています。

例えば、リーマンショック時の景気後退による1株当たり利益は以下の通りです。

2007年の1株当たり利益は4.25ドル
2008年の1株当たり利益は4.06ドル(4.5%減)
2009年の1株当たり利益は4.52ドル(11%増)
2010年の1株当たり利益は4.45ドル(1.5%減)

上記のように、KMBは2008年と2010年では、わずかに一株当たりの収益が減少しています。しかし、2009年には2桁の成長率を記録しているのです。消費者は、経済の状況にかかわらず、常にペーパータオル、顔面ティッシュ、おむつなどのパーソナルケア製品が必要なのです。それは、景気後退期にあっても、KMB製品の需要が一定していることを意味しています。

KMBへの投資

2016年には、KMBは極めて過大評価されていました。生活必需品銘柄が過剰に評価されていたのです。

その後、KMBはの株価は2017年2月から7月にかけて20%以上下落しました。

しかし、決算を見る限りKMBの本質的に何らかわりません。気まぐれな株式市場が陶酔と落胆を勝手に繰り返しているだけなのです。市場価値は過去2年間で劇的に変化しましたが、KMBの本質的価値はなんら変化していないのです。むしろ、持続的な自社株買いにより一株当たりの利益の増加しているといっていいでしょう。

KMBは、46年連続で配当を増やした連続増配のブルーチップです。そのような銘柄が売り込まれ、PERも低くなっているときこそ、配当再投資により確実に富を拡大することができるチャンスなのです。

私自身が、KMBの追加投資をしたときは7月初旬で、当時の株価は100前後でした。その時は4%近い配当利回りだったのです。すぐには株価は回復しないだろうと考え、原稿の作成を始めましたが、2018年8月3日時点で116.7ドルと大きく回復しました。現在、すぐに投資をすべきではありません。しかし、100ドルから105ドルあたりになったときには追加投資を考慮してもいいかもしれません。

『人の行く裏に花の山』という有名な格言があります。現在、グロースが全盛期だからこそ、時代遅れとも言われる生活必需品高配当を少額づつとることが結果的には『花の山』を得ることができると考えています。

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