株式市場に半永久的に居続けることで、複利という大きな利益を得ることができます。そのためには、少しでもリスクの少ない投資対象を選択することが必要です。その1つが以前説明した『バリュー投資』でした。さらに、研究の発達により、別のリスクの少ない投資方法が生み出されました。それが今回説明する『インデックス投資』です。
目次
インデックス投資の誕生と普及
インデックス投資とは
『バリュー投資』は、企業の本質的価値よりも安く買うことでリスクを減らす投資方法です。つまり、お買い得品を買うのです。しかし、そのお買い得品がとんだ不良品であることもありえます。その場合は、安物買いの銭失いとなってしまいます。
『インデックス投資』は、そのような安物買いの銭失いのリスクを減らすために、徹底的な分散投資を行います。たとえ不良品の銘柄があろうとも、多くの企業のたった1社ならたいした損失にはなりません。そのようにして、個々の企業のリスクを希釈化して、株式市場全体に投資する方法が『インデックス投資』なのです。
市場平均
『ダウ平均』や『日経平均』という言葉を聞いたことがあるかと思います。ニュースでも『日経平均が暴落しています』とか、『ダウ平均が最高値を更新しました』ということを時々耳にしたことがあるかもしれません。それは、株式市場の平均を表す基準のことを意味します。インデックス投資は、市場全体をまとめて投資対象とします。その市場全体の指標が市場平均なのです。そのために、インデックス投資では、ダウ平均や日経平均のような市場平均に焦点をあわすことになります。
『平均点を取ることがそんなに凄いことなのか』と疑問に思われるかもしれません。それでは、市場平均の指標の1つであるダウ平均を考えてみましょう。ダウ平均は、アメリカを代表する30社の株価の平均です。そのメンバーは、Apple、Microsoft、ナイキ、コカコーラ、ボーイング等の世界最高レベルのそうそうたるメンバーです。そのような最高レベルの企業の平均を目指す方法がインデックス投資なのです。平均といっても草野球の平均ではなく、ニューヨーク・ヤンキースの平均なのです。
インデックス投資を生んだシカゴ大学の学派
インデックス投資の考え方はシカゴ大学の学派による効率的市場仮説が背景にあります。それは市場は様々な情報を瞬時に織り込み適切な価格を形成すると言う考え方です。
効率的市場仮説は、1960年代のシカゴ大学のユージン・ファーマ教授によって先駆的に研究発展されました。ユージン・ファーマ教授はその研究の実績により2013年にノーベル賞経済学賞を受賞されています。
バリュー投資の父と言われバフェットの師匠であるグレアムは、企業の評価方法を体系化しました。その考え方が浸透し、株式市場はその企業価値を瞬時に判断するようになりました。その結果、もはや割安株がそのまま放りされることは極めて少なくなったのです。
そのために、インデックス投資の背景にある効率的市場仮説の支持者は、企業の本質的価値について、もはや株式市場の株価に他ならないと考えます。株式市場は多くの要素を瞬時に織り込み適正な価格を提示していると判断されるからです。したがって、株式を本質的価値よりも安く買うことはできません。更に、株価はランダムに動きます。そのために短期の株価の動き予想することもできません。また、株式市場はすべての条件を織り込んでいます。そのために、長期の株価の予想をすることもできません。結局、値上がりする株を見つけることはできないと考えるのです。
しかし、資本主義そのものは発展しています。それなら発展する資本主義そのものである市場全体、つまり市場平均に投資をすることが最善と考えるのです。そして、その市場平均への投資がインデックス投資であり、インデックス投資がもっとも最善の投資方法との結論づけるのです。
インデックス投資の普及
インデックス投資がいかに有用かを世界に知らしめたのは、プリンストン大学のマルキール教授です。マルキール教授は『ウォール街のランダムウォーカー』により、その有効性を世にしらしめました。『ウォール街のランダムウォーカー』は、グレアムの『賢明なる投資家』と並ぶ記念碑的な著作です。
そのマルキール教授をはじめ、インデックス投資の古典『敗者のゲーム』の著者であるエリス氏、インデックスファンドを生み出したバンガード社の創業者ボーグル氏らがインデックス投資の普及に尽力しました。彼らの尽力により、インデックス投資は、今や世界の主流の運用スタイルになっていきました。
バフェット氏によるインデックス投資の推奨
バフェット氏から個人投資家へのメッセージ
バリュー投資で、巨万の富を築いたバフェット氏。現在、そのバフェット氏ですら個人投資家にはインデックス投資を推奨しています。
低コストのインデックスファンドを選びなさい。そうすれば9割の投資家よりも上手くやれるでしょう。
ウォーレン・バフェット
個人投資家に対して、このように繰り返し述べています。
バフェット氏が家族に伝えた資産の運用方法
バフェット氏は、家族に対する自身の遺産の相続の信託内容も公表しています。
10%を政府短期債で、残り90%はインデックスファンドで運用するように指示しました。
ウォーレン・バフェット
家族に対しても遺産の運用として『インデックス投資』を信託しているのです。
米国では株式投資は学術研究の対象となり、その伝統は100年近くにも及びます。その長年の研究成果により、リスクの少ない投資手法が確立されてきました。それが『バリュー投資』そして『インデックス投資』なのです。
応援クリックして頂けると励みになります