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【禅がジョブズのApple復活に与えた影響】京大教授をバカとけなすホリエモンの限界 その3

投稿日:2018/10/6 更新日:

前回、ジョブズと禅との出会いを記事にしました。その上で、創業したAppleに追放されるまでにつても記載しました。

今回は、禅がジョブズのApple経営にどのような影響を及ぼしているかについて述べてしていきます。さらにAppleを追放された後についても記述していきます。

Apple追放

敗北と愛

Apple追放後のことは、ジョブズ本人によるスタンフォード大学での名スピーチの『敗北と愛』というテーマで語られています。

2つ目の話は愛と敗北です。

マッキントッシュを発売したちょうど1年後、30歳になったときに、私は会社から解雇されたのです。

私の人生をかけて築いたものが、突然、手中から消えてしまったのです。

そのときは気づきませんでしたが、アップルから追い出されたことは、人生でもっとも幸運な出来事だったのです。

アップルを追われなかったら、今の私は無かったでしょう。非常に苦い薬でしたが、私にはそういうつらい経験が必要だったのでしょう。最悪のできごとに見舞われても、信念を失わないこと。自分の仕事を愛してやまなかったからこそ、前進し続けられたのです。

絶対に、立ち尽くしてはいけません。

2011年10月9日 『日本経済新聞』

禅師によるジョブズの復活

85年、ジョブズは、共同設立したappleを追われ、失意のどん底に陥ることになります。そのとき、精神的支えとなったのが禅の師匠である乙川弘文師だったのです。

乙川弘文師による禅の指導により、ジョブズは絶望を克服し、ネクスト起業により再起を図ります。86年にジョブズは弘文師をネクストの精神的コンサルタントに任命しています。

91年ジョブズがローレン・パウエルと再婚した際には仏教式結婚式が乙川弘文師のもとで行われました。

禅がAppleに与えた影響

禅によるAppleのデザイン

ここで、ジョブズが乙川弘文師からどのようにして禅を習得し、その後のAppleにいかしていくのかを整理してみましょう。

まずは、デザインです。

ジョブズは、アップルの基本理念を「フォーカスとシンプルさ」と定義し、「シンプルであることは、複雑であるより難しい」と語っています。そのシンプルさを追求し、洗練さを極めたジョブズのモノづくりは禅が背景にあるのです。

京都にある龍安寺の石庭や西芳寺の苔庭こそ、その原点ともいえるのです。

仏教、とくに日本の禅宗はすばらしく美的だと僕は思う。なかでも、京都にあるたくさんの庭園がすばらしい。その文化がかもし出すものに深く心を動かされる。これは禅宗から来るものだ。

スティーブ・ジョブズ

禅によるジョブズのマーケティング

マーケティングも禅が関与しているのです。

ジョブズは新製品を開発する際に、通常のマーケティングを行いませんでした。消費者リサーチから来る雑多な情報に左右されることを恐れたのです。

新製品を開発するにあたり、ジョブズは禅により不要なものを意識から追い出すことで、直感力を研ぎすますのです。そして、自身の心にある深いところまで到達し、本当に望むものを徹底的に感じ取ろうとしたのです。禅による意識の深いところに到達し理想の製品が現れたときの様子についてジョブズは語っています。

まるでその製品がテーブルのちょうど真ん中に置いてあるかのようみ見えてくる。僕がしなくてはならないことは、それを具体化し、生命を与え、収穫することなんだ。

スティーブ・ジョブズ

自分の深いところから来るものから商品開発を行うことで、Apple製品は顧客の深いところを揺さぶる力を持つことになるのです。それにより、熱狂的なApple信者を生み出していったのです。

禅による困難からの克服

禅により、困難や絶望からから立ち上がり、克服することになります。

Appleを追放され呆然となったジョブズは、乙川弘文師による禅の指導を受けることで、過去のこだわりや未来の不安を雑念として排除し、今の瞬間のみにフォーカスすることを習得していくことになります。

アーチストとして、創造的な人生を送りたいと思うなら、あまり過去をふり返るのよくありません。自分がしてきたこと、自分という人間をそのまま受け入れ、それを捨てさらあければならないのです。

スティーブ・ジョブズ

禅では、このように今の瞬間にフォーカスすることを重視し『日々是好日』と呼んでいます。

しかし、『日々是好日』は、お釈迦様の肉声を後生に伝える最古の仏教経典にも認めることがでるのです。短いので引用してみましょう。

過去を追いゆくことなく、また未来を願いゆくことなし
過去はすでに過ぎ去りしもの、未来は未だ来ぬものゆえに
現に存在している現象を その場その場で観察し
揺らぐことなく動じることなく 智者はそを修するがよい
今日こそ努め励むべきなり 誰が明日の死を知ろう
されば死の大軍に 我らわずらうことなし
昼夜怠ることなく かように住み、励む
こはまさに『日々是好日』と寂静者なる牟尼は説く

『マッジマ・ニカーヤ(中部経典)』

短いながらもメッセージが凝縮された言葉を音楽に乗せてYouTubeにアップもしている方もいます。添付してみます。

ネクストでの種まきとApple復帰

弘文師の指導方法

弘文師はジョブズに答えを教えるような指導は行いませんでした。ジョブズの精神状態を把握した上で、その状態に応じた座禅の指導を行うことで、雑念を取り払い、より直感を磨きくよう方向付けを行ったのです。そのようにしてジョブズは自から答えを見つけることになるのです。

ネクストでの種まき

ジョブズは、起業したネクストでの新しいOSであるNeXTSTEPを開発します。そのOSは、ジョブズがAppe復帰後にMac OSⅩとして名前を変えることとなります。さらに、後にiPhoneのOSであるiOSへ発展していくのです。

音楽配信サービスiTunes Apple StoreのもととなるWebアプリケーションソフトが開発されたのもその時期です。

不遇のネクスト時代にこそ、今後Appleがその後『世界で最も成功したのテクノロジー企業』となる種がまかれていたのです。

Apple復帰

12年後の1997年に、経営不振に陥ったAppleはネクストを買収することで、ジョブズにAppleに復帰を要請します。

しかし、Appleに復帰したジョブズがみたものは想像を絶する惨状だったのでした。資金は、従業員の3ヶ月分の給与もストックされておらず、主力商品のMacintoshも売れば売るほど赤字という倒産寸前の状態だったのです。そのような絶望的な状態の中で、今その瞬間に集中することで、一つずつ困難を克服していきます。そして、iMac、iPodの成功により業績を回復することに成功したのです。

師の死去

2002年にジョブズの精神的な支柱となった弘文師が亡くなります。スイスを訪れた際プールで溺れた自身の娘を助けようと水に飛び込み、そのまま溺れ帰らぬ人となったのです。

カリフォルニア州にある曹洞宗の禅センターから、ジョブズのもとに師の死去が電話で伝えられれました。

電話の向こうでジョブズのすすり泣く声とともに、『なぜ』、『どうして』とう声が聞こえました。

ジョブズの胸に去来したものは、弘文師とともに歩みつづけたApple創業、そして追放後のネクスト創業、Apple再建という長い道のりだったに違いありません。

ジョブズ最後の仕事

その師の死から1年後、ジョブズ本人にも膵臓癌が見つかることになりました。

ジョブズのスタンフォード大学での名スピーチでの3番目のテーマ『死』を引用してみましょう。

3つ目の話は死についてです。

私は17歳のときに「毎日をそれが人生最後の一日だと思って生きれば、その通りになる」という言葉にどこかで出合ったのです。それは印象に残る言葉で、その日を境に33年間、私は毎朝、鏡に映る自分に問いかけるようにしているのです。「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか」と。「違う」という答えが何日も続くようなら、ちょっと生き方を見直せということです。

あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。

2011年10月9日 『日本経済新聞』

Apple躍進

ジョブズ氏は死と直面し、自らの内なる声を探ることで、自分の最後の仕事が何かを認識します。そして、生き急ぐかのようにその仕事にとりくみます。

最後の仕事は、ジョブズの人生の最後の輝き見せることなります。しかし、それだけではなくIT史上でも例をみない輝きを放つことになるのです。

iPhoneの開発です。

2007年に発売されたiPhoneは、世界中で熱狂的に受け入れられ、人々のライフスタイルを劇的に変貌させ、あらゆる業界に破壊的イノベーションを起こしていきます。

2010年にはタブレットのiPadが発売されます。

発表当初iPadは、iPhoneほどの熱狂はありませんでした。大きなiPhoneにすぎない、マウスが使えない、USBが使えないと、消費者からの不満がAppleに届きます。

しかし、実際に発売になり人々がiPadを手にするとそのような不満は瞬く間に消滅します。冷ややかな声は次第に熱狂に変わり、爆発的な売れ行きをAppleにもたらしていくのです。

2010年にAppleの時価総額はIT業界の絶対的な存在であったMicrosoftを超えることとなります。

ジョブズの死去

しかし、時価総額と反比例し、ジョブズの膵臓癌が悪化し健康状態は悪化の一途をだどっていくのでした。

死期を悟ったジョブズは、2011年4月にAppleの原点となった都市を訪れます。桜が満開に咲き誇る京都です。そこには、ジョブズの愛した西芳寺の苔庭や、Apple経営の源泉となった禅寺が時代を超えてただずんでいます。

iPhoneとiPadを完成し人生でやり残した仕事を完成させたジョブズの脳裏に浮かんだ光景ははたしていかなるものであったでしょうか。

2011年10月5日、ジョブズの死去が全世界に伝えられました。

アップルストアーの前には、『Thank You Steve』というメッセージが届けられ、山のように花束が捧げられたのです。

人々が故人に哀悼を捧げる態度は、企業経営者に対するそれではなく、ジョンレノンやマイケルジャクソンのようなポップススターの訃報を彷彿とさせるものでした。

ライブドア興隆と破綻

買収によるライブドアの拡大

もう一人の天才であるホリエモンこと堀江貴文氏の軌跡を見てみましょう。

堀江氏は、極めて頭の回転が速く、興味を持つものには驚異的な集中力を発揮していきます。しかし、思いつきで事業を開始し、興味が無くなればすぐに放り投げてします飽きっぽさも抱えていました。そのために、ライブドアにはコアとなる事業が育つことはありませんでした。それを企業買収で補うことで規模を拡大していきます。

投資家を犠牲にした買収

企業買収の資金を、株式転換社債で調達します。資金を貸した金融機関は、その社債を株式にかえ市場で売却することができるのです。

しかし、既存の株主にとっては、増資により希釈化された上に、市場で売却されることで株価は大幅に下落することになるのです。つまり、投資家を犠牲にした資金調達に他ならないのです。

そのような資金調達のためには、株高を演出することが必要となります。ライブドアは、2004年当時3億円の赤字でした。しかし、業績悪化による株価暴落を防ぐために、粉飾決算に手を染めていきます。そして、2004年決算予想を20億円から50億円に上方修正したのです。

宴の終焉

しかし、ついに破綻が来たのです。

2006年1月16日に東京地検による強制捜査が始まったのです。

1月23日には、証券取引法違反で堀江貴文氏も逮捕となり、幹部も次々と逮捕されていきます。

堀江氏というリーダーを失い有力幹部も逮捕に至ったライブドアは自力での運営が困難となり、2010年に韓国企業ネイバーに買収され消滅します。

弁護団による高山教授への意見書の依頼

堀江氏は、東京地裁で実刑判決となり、東京高裁でも実刑判決の判決を受けることになります。弁護団は最高裁に上告するにあたり、刑法学者の意見書を提出することを検討します。そのためには最高裁判事の誰もが知っている高名な学者に依頼することが絶対条件です。

弁護団は、堀江氏が後に『何言ってだこいつ。バカか。』『こんな奴に税金使われていると思ったら腹立つね』と非難を向けることになる高山佳奈子京大教授に依頼することになります。

客観的に判断されるべき刑事司法が、世論の圧力により感情に流され主観的に運用されることは、冤罪が跋扈する温床にもなっていきます。それは、世の中を戦時中の日本のような暗い社会に転落させる引き金にもなりえるのです。そのために、高山教授は、堀江氏に対する厳しい世論にもかかわらず弁護団の依頼を引き受けます。そして、丹念に裁判記録を検証し、検察の提出した証拠では堀江氏の関与を完全に立証することは困難であることに気づくことになります。さらに、山一証券や日興コーデリア証券の粉飾決算と比べて少額にもかかわらず実刑となることについて量刑が不当と考えます。そして、『堀江氏は無罪であるか、そうでないにしても実刑判決は不当である』との意見書を提出することになるのです。

LINEに生きるライブドアのDNA

現在、急激に普及しているサービスアプリLINE。そのLINEはライブドアを買収した韓国企業ネイバーのネットサービスです。それゆえ、LINEは韓国資本による開発と考えてられています。しかし、その開発は、堀江氏がライブドア時代に採用し育成した日本人技術者の手によるものなのです。

そこにも天才ホリエモンの卓越したリクルーティング能力を垣間見ることができます。さらに、LINEを開発した元ライブドアの技術者の多数は、堀江氏のライブドア時代をなつかしがり、堀江氏を悪くいう者はほとんどいないのです。

もしも、堀江氏にコツコツと事業を育てる資質があったなら、いま世界を席巻しる携帯電話は、iPhoneではなく、ライブドアPhoneだったかもしれません。

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