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驚異的な成長率アッヴィ【黄金銘柄アボットから分社したバイオ薬企業】

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4月26日、アッヴィ(ABBV)は2018年度第1四半期の決算を発表しました。それは予想を超える好決算でした。

まず、1株当たり利益(EPS)は前年同期と比べ40%以上上昇しました。さらに、2018年の財務ガイダンスにて、1株当たり利益の38%の増加を見込む発表を行いました。

高収益バイオ企業アッヴィ

アッヴィ(ABBV)という巨大製薬会社について説明しましょう。

シーゲル博士の黄金銘柄アッヴィ

以前、シーゲル博士のバリュー投資研究で、時代を超えたハイリターンの企業を紹介しました。その2番目のハイリターンを出した企業がアボット(ABT)でした。

しかし、そのハイリターンを出した企業は現在のアボット(ABT)とは異なります。

それは、2012年にアボット(ABT)が、新薬開発の生物医薬品企業をスピンオフしたからです。そのスピンオフされた企業こそが今回のアッヴィ’(ABBV)なのです。さらに、アッヴィ(ABBV)の売上は、スピンオフ前のアボット(ABT)の半分にも及んでいたのです。

シーゲル博士の黄金銘柄であるアボット(ABT)は、半分は今回のアッヴィ(ABBV)と言っていいでしょう。

スピンオフは、株主に大きな利益をもたらしました。スピンオフ前は同じ規模であったアボット(ABT)とアッヴィ(ABBV)は、その後アッヴィ(ABBV)はアボット(ABT)よりも高い拡大を呈しました。その結果、2018年年5月2日時点で、アッヴィ(ABBV)の現在の時価総額は1620億ドルであり、アボット(ABT)の時価総額は1027億ドルの1.5倍以上となっています。

高成長を誇る伝統企業アッヴィ

その間のアッヴィ(ABBV)の売上、キャッシュフロー、利益の推移をグラフで見てみましょう。   アボット(ABT)の設立は1888年です。アッヴィ(ABBV)は、スピンオフ前のアボット(ABT)から換算すれば、130年の伝統のある企業であるのです。

そのような成熟した起業でありながら、高い成長性をも有しています。しかも配当は3%を超え4%近い利回りとなっているのです。

アッヴィ(ABBV)のセクターは、ヘルスケアです。ヘルスケアセクターは、あらゆるセクターの中でもっとも高い参入障壁を有する一方、ITを超えるスピードの市場拡大を続けています。さらに、景気変動の影響を受けない長期投資にはもっとも適したセクターの1つです。

しかし、ヘルスケアの中でも製薬部門は、高い利益を誇りながらも、特許切れのリスクという不安定要因を抱えてもいます。それは、取りも直さず連続増配記録をつくることが困難であることを示しているのです。

2018年第1四半期のアッヴィの好調な決算

では、よりアッヴィ(ABBV)の今回の決算の確認してみましょう。

2017Q1 Q2 Q3 Q4 2018Q1
全体の売上(100万ドル) 6538 6944 6995 7739 7934
ミュミラの売上(100万ドル) 4118 4716 4701 4892 4709
イムブルミカの売上(100万ドル) 551 626 688 708 762
C型肝炎薬の売上(100万ドル) 276 510 919

売上

アッヴィ(ABBV)の第1四半期の業績発表は、売上と利益の両方において優れた成長をもたらしました。 世界での売上は79.34億ドルとなり、前年同期と比較し21.4%増加したのです。

ヒュミラ

そのアッヴィ(ABBV)の驚異的な収益成長の原動力はヒュミラ(Humira)いうバイオ薬です。

ヒュミラは、アッヴィ(ABBV)の売上の59%を占め、世界で最も収益性の高い医薬品である主力医薬品です。 ヒュミラは、四半期の売上が47.01億ドルで、前年同期よりも14.4%増加しています。それはヒュミラの経済規模を考えると驚異的といってもいいでしょう。

ヒュミラの特許は2016年に失効しています。特許切れであったも、10%を超える成長率を誇ることは、現在においても潰瘍性大腸炎、クローン病、尋常性乾癬等の自己免疫疾患の治療でヒュミュラにかわるバイオ薬が出現していないことを示しています。さらに、他社が同等の医薬品を製造することが困難であることも意味しているのです。

しかし、そのヒュミュラの輝かしい実績は、アッヴィ(ABBV)がヒュミュラの利益に依存してい構造となっていることに他なりません。その特許が切れている現在、ヒュミュラの優位性を揺るがすバイオシミラー薬の出現はいづれ起こります。その時のために、アッヴィ(ABBV)は収益源を確保することが必要です。

抗がん剤イムブルミカ

その他の医薬品を見てみましょう。 イムブルミカ(Imbruvica)は、悪性リンパ腫および慢性リンパ性白血病への抗がん剤です。

そのイムブルミカは市場シェアリーダーとしての地位を固めています。その売上は7.62d前年同期と比べ39%増加しました。

ギリアドの優位性を崩したC型肝炎薬マヴィレット

さらにそれ以上に、第1四半期の最大の売上の上昇をもたらした医薬品は、2017年8月に認可されたC型肝炎薬であるマヴィレット(Mavyret)です。

第1四半期の売上は9.19億ドルにも達しました。その売上は、前年第4期と比較して80%も上昇しているのです。

それまでは、C型肝炎薬は、ギリアド(GILD)のハーボニーが市場を支配していました。しかし、アッヴィ(ABBV)によるマヴィレット発売によりギリアド(GILD)の優位性は完全に無くなりました。

ギリアド(GILD)のハーボニーの12週間にくらべ8週間で同等の治療効果があります。また、ハーボニーでは適応にならない慢性腎不全の患者でも投与ができます。さらに、C型肝炎ウイルスが変異しハーボニーでは効果が期待できない遺伝子タイプのウイルスに対しても効果があります。しかも、ハーボニーの薬価は日本円で12週で1000万円近い費用がかかる一方、アッヴィ(ABBV)のは、200万円台となっています。

そのような優位性から、C型肝炎の新薬マヴィレットは、アッヴィ(ABBV)の2番目に大きな薬として抗がん剤のイムブルミカを上回りました。 マヴィレットはアッヴィ(ABBV)がヒュミラに依存することを脱却するきっかけとなる可能性があります。

パイプライン

ヒュムラは、特許失効後も、高い競争力を誇っています。しかし、ヒューミラに対する競争優位性は永遠に続くことはありません。いつか、ヒュミラのバイオシミラーが市場で優位となる可能性があります。 そのためにアッヴィ(ABBV)はパイプラインからのヒット新薬を必要としています。 近く認可される医薬品を2薬紹介します。

免疫薬

アッヴィ(ABBV)は最近、乾癬を治療するためのインターロイキン23(IL-23)阻害剤であるリサンキズマブ(risankizumab)承認のためにの手続きを進めています。今年のリサンキズマブの発売はヒュミュラの依存体質を助けるかもしれません。しかし、乾癬市場での競争がさらに激化すれば、そこまでの利益をもたらすことは無い可能性もあります。

新しいタイプの抗がん剤

また、ベネトクラクス(Venetoclax)という再発難治性慢性リンパ性白血病に対する薬剤が年内に承認を受ける手順がすすんでいます。

その作用は、アポトーシスといって細胞の自己崩壊を促進するといういままでの抗がん剤とは違った機序を有しています。細胞には正常細胞が癌細胞のような異常な変化をとげた場合に、その細胞を自己崩壊させることで、人体に害を及ぼす細胞を排除するしくみが遺伝子に組み込まれています。しかし、その自己崩壊の機能が障害を受けた場合に、癌細胞は増殖を始めます。その癌細胞に対して、アポトーシスという自己崩壊機能を促進させる医薬品です。

2剤の新薬の承認少なくとも短期間でアッヴィ(ABBV)のパイプラインに対する懸念を短期間で終わらせる可能性があります。

株主還元

自社株買い

今年2018年2月、アッヴィ(ABBV)は100億ドルの株式買戻しプログラムを承認しました。トランプ大統領の減税による余分なキャッシュフローは、これらの買戻しの資金調達に役立つと考えられます。

配当

アッヴィ(ABBV)は現在、約4%近い配当利回りをもたらしています。さらに、アッヴィ(ABBV)は今後数年間は着実に配当を増やし続ける可能性が高いでしょう。

結論

今回の決算を見る限りアッヴィ(ABBV)は投資先として考慮すべき企業と判断されます。

まず、アッヴィの主力製品であるヒュミラは特許が切れているにもかかわらず、現時点でもその優位性を脅かすバイオシミラー薬は出現していません。

また、数年内には起こりうるヒュミラの優位性が崩れた場合の次世代の新薬も揃いつつあります。

たしかに、製薬会社の場合は、医療機器企業と比べ、特許切れの影響を受けやすい特徴があります。そのためにアボット(ABT)のような連続増配は困難である可能性が高いと判断されます。しかし、そのデメリットを考慮しても新規買いや買い増しの検討の余地がある企業と考えます。

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