投資理論・哲学

猿のダーツに勝てないエリート『金融業界にとって不都合なインデックス投資の真実』

投稿日:2018/3/14 更新日:

投資の中心となるのは、インデックス運用です。そのインデックス運用とは、平均点をとっていく運用方法でした。その平均点とは市場平均を意味します。

目次

市場平均

まず、市場平均の代表である日経平均とダウ平均について説明しましょう。日経平均やダウ平均という言葉については、一度は耳にしたことがあるかと思います。

ダウ平均

ダウ平均とは、アメリカを代表する企業30社を選んで、株価を合計し30で割ったものです。 ダウ平均=(ダウ銘柄①の株価+ダウ銘柄②の株価+…+ダウ銘柄㉚の株価)/除数 除数については、本来は銘柄数の30で割っていました。しかし、その後の銘柄入替や合併等の都度変更があり現在、0.14602128で割っています。

日経平均

日経平均は、日本を代表する企業225社を選んで、その株価を合計して225で割った数値です。 日経平均=(日経平均1社目の株価+日経平気2者めの株価+……+日経平均225社目の株価)/除数 日経平均についても除数は銘柄数の225で割っていました。しかし、銘柄入替割や合併等の都度変更があり、現在24.966で割っています。 小学生でも理解できる内容です。

それら日経平均やダウ平均のような市場平均と同じになるように株式を組み合わせた運用をインデックス運用といいます。

アクティブ投資 VS アクティブ投資

アクティブ運用とは

インデックス運用とは別に、アクティブ運用という投資方法もあります。

アクティブ運用とは、株式を知り尽くしたプロのファンドマネジャーが上がる株式を選別し高い利益を出す目指す運用です。 アクティブ運用を行うファンドマネジャーは、ハーバード大学やスタンフォード大学等の有名大学で経営学修士の学位を取得し、その後ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレー等の投資銀行に入社したエリート中のエリートです。ゴールドマンサックスのような投資銀行では、一般では手に入らない情報にアクセスできます。そのような金融エリートが、投資銀行で一般人では手にはいらない情報網から、値上がりする株式を選別していくのです。

インデックス投資とアクティブ投資とのリターンの比較

金融エリートが運用するアクティブ運用。小学生でも設定できるようなインデックス運用。金融エリートの運用するアクティブファンドである市場平均であるインデックスファンドよりも高い運用成績を残しそうに思えます。

実際はどうだったのでしょうか。10年間で、インデックスファンドに勝てなかったアクティブファンドの割合を見てみましょう。

『日本の大型株ファンド』   63.0%
『日本の中小型株ファンド』  65.2%
『米国株式ファンド』     87.5%
『新興国株式ファンド』    90.3%
『グローバル株式ファンド』  92.0%

ほとんどのアクティブ運用は、インデックス運用を超えることが出来なかったのです。特に、米国株は90%近く、新興国株式とグローバル株式では90%以上のがインデックスを超えることができなかったのです。

インデックスファンドの開発と普及

金融業界の『不都合な真実』

ほとんどの金融エリートであるファンドマネージャーは市場平均を超えることができません。その事実は以前より金融業界では知られていました。

しかし、それは金融業界にとっては、まさに世に知られたくない『不都合な真実』に他なりません。そのため金融業界は顧客に対して『プロに任せれば安心』と言うマジックワードを使って『不都合な真実』を覆い隠していたのです。それにより、真実を知らない顧客の運用を行い巨額の報酬を得ていたのです。

マルキール博士の『猿のダーツ』という皮肉

1973年にマルキール博士が『ウォール街のランダムウォーカー』を出版しました。そこでインデックス投資の有効性が初めて世に知られることになったのです。

マルキール博士は、猿にダーツを投げさせれば、金融エリートが運用するアクティブファンドよりもいいリターンが出るとすら主張しています。それは、アクティブ運用よりも猿のダーツの方がインデックス運用に近いからです。

しかし、当時はまだ一般投資家がインデックス投資を行う事は出来ませんでした。富裕層がプライベートバンクでインデックスファンドに相当するポートフォリオを組む程度でしか方法がなかったのです。そのために金融機関は『そうは言ってもインデックスファンドと使用することはできないのではないか』と反論しました。マルキール博士は『いずれできるようになるさ』と答えたということです。

『ボーグルの愚行』

そのマルキール博士の言う『いずれ』の時期が来たのです。1975年12月31日にボーグル氏の創業したバンガード社からインデックスファンド発売されました。ようやくインデックスファンドが一般投資家の手にも届くようになったのです。

しかしながら、発売当時の売れ行きは芳しくありませんでした。一般投資家にとって『プロに任せれば安心』と言うマジックワードはまだ根強かったのです。その当時のバンガード社の苦境は、金融業界から『ボーグルの愚行』とまで揶揄されるほどでした。

ロックフェラー財閥の運用責任者チャールズ・エリス氏の輝かしい業績

その後、リチャード・エリス氏の『敗者のゲーム』により金融業界の流れが大きく変わることになります。

チャールズ・エリス氏の経歴を見てみましょう。エール大学を優秀な成績で卒業し、バーバード大学の経営修士課程を最優秀の成績で修了します。その才能は卒業後も遺憾なく発揮され、証券コンサルタントや経営のコンサルタントを歴任し輝かしい実績を上げていくのです。

その後若くしてロックフェラー財閥の資産運用責任者に抜擢されることになるのです。 エリス氏がロックフェラー財閥の資産運用担当に着任後、ただでさえ巨額のロックフェラー財閥の資産が極めて早いスペースで増えることになっていったのです。そのスペースは大半の運用担当者よりも高いリターンであり、更に驚くべきことに資産の上昇リターンは毎年確実に市場平均を上回っていたのでした。

その高いリターンにインサイダー取引さえ疑うものも出てきました。しかし、いくら調べてもインサイダー取引を疑うような兆候すらを見つけることはできなかったのです。 他にも多くの噂が流れました。証券業界の裏の裏まで知り尽くしているエリス氏のことだから、インサイダーには引っかからない秘密ルートがあるのではないか。さらには、ロックフェラー財閥が擁するユダヤ教の神秘思想家から未来を見通せる秘術を預けられたのではないかとも、まことしやかに囁かれました。

天才チャールズ・エリス氏の運用方法

しかし、そのエリス氏の運用方法が明らかになる時が来たのです。『敗者のゲーム』に記されている運用方針こそがまさにエリス氏がロックフェラー財閥で行っていた投資手法だったのです。その手法は証券業界に衝撃をもたらしました。 その内容とは、 1.インデックスファンド買って持ち続ける。
2.インデックスファンドの分配金も再投資する。

この2点だけだったのです。

『敗者のゲーム』によれば、もはや株式市場でのリターンをあげるには、プロテニスのようなスーパーショットのように勝ちに行く必要はありません。アマチュアテニスのようにミスをなくすことで確実に勝利を得ることができるのです。そのミスをなくす最適な方法はインデックスを購入し、その分配金も再投資することなのです。

90%近いファンドマネジャーが市場平均を上回ることができません。そのために、市場平均をなぞったインデックス投資を行えばプロの中でも一握りの上位のリターンを出すことができます。

更に、アメリカの代表的な指数であるS&P500。その指数をなぞったETFであるバンガード社のVOOでは信託報酬は0.04%です。つまり0.04%だけ市場平均を下回るリターンということになります。しかし、その分配金は2%前後です。0.04%の信託報酬分だけ市場平均を下回ったとしても、2%の利回である分配金の再投資を行うなら、その分配金の割合だけ資産の伸びは市場平均を確実に上回ることになるのです。

インデックスファンドの普及

インデックス投資を世にしらしめたマルキール博士、インデックスファンドを開発したボーグル氏、インデックスファンドの普及に貢献したチャールズ・エリス氏。彼らのインデックス投資の先駆者により、その後インデックス投資は少しずつそして確実に普及することになっていきます。更に、1990年代の入りインデックス投資が急拡大していくのです。

2016年にアメリカ籍のアクティブファンドから4000億ドル(40兆円)の資金が流出しています。逆にインデックスファンドには6000億ドル(60兆円)もの資産が流入しました。 2019年には、アクティブファンドの資金をインデックスファンドが上回ると試算されています。 では、なぜかくも多くの金融エリートの運用するアクティブファンドがインデックスに勝つことができないのでしょうか。

次回、その理由を説明したいと思います。

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