Google Yahoo! 投資雑談

【Yahoo!の凋落と終焉】Yahoo!とGoogleの興亡 その3

投稿日:2019/11/23 更新日:

 

前回の記事は、Yahoo!によるGoogle買収が失敗に終わるまででした。

Googleの躍進

検索連動型広告

Yahoo!はGoogleとの検索エンジン契約を打ち切ります。

Googleは収入源が断たれ危機に陥ることになります。しかしそのとき、ついに検索エンジンを莫大な富にかえる鍵を解き明かすことになったのです。

その鍵こそ、検索連動型広告に他なりません。

検索エンジンでキーワードを入力すると、結果が提示されます。同時に、キーワードに連動した広告も提示されるのです。ユーザーがキーワードを入力することは、それに興味があるに他なりません。ユーザーに興味のある事柄の広告が出されることで、絶大な宣伝効果がもたらされるのです。

検索連動型広告の優位性について、以前ブログ記事にしています。

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Googleの収益は急速に拡大し、Yahoo!を抜き去って行きます。

Netscapeの二の舞

しかし、そこには、さらに強力な敵が待ち構えていたのでした。Microsoftです。

検索連動型広告が莫大な富を生み出すことをMicrosoftが知れば、新興企業のGoogleはひとたまりもありません。

かつてニューエコノミーの旗手Netscapeは、Microsoftに完膚なきまでに打ちのめされました。

1995年、MicrosoftはWindows95の開発に忙殺されるあまり、インターネットの価値を理解していなかったのです。しかし、Netscape上場による市場の熱狂的な反応をみて、インターネットの重要性に気がつくのです。

そうして、MicrosoftはInternet Explorerの抱き合わせ販売によりNetscapeを壊滅に追い込みます。

GoogleはNetscapeの二の舞を防ぐため、高収益をひた隠しにし株式公開を少しでも遅らせました。

いつしか、検索エンジンは、Microsoftが追いつくことができない高地に到達します。

株式公開

2004年8月、ついにGoogleは株式公開を行い、初日で時価総額は230億ドルに達しました。

その後、株式公開で得た資金で、次々と企業を買収していきます。

2004年10月27日に、キーホール社を買収しました。人工衛星や航空撮影データベース技術は、後にGoogle Mapとして結実します。

2006年10月9日にはYouTubeを16億5000万ドル(約1950億円)で買収します。

Android社

しかし、もっとも重要な買収は、2005年8月のAndroid社買収です。しかも、その買収額は5000万ドル(55億円)に過ぎなかったのです。

Android社は、アンディ・ルービンによって2003年10月に設立されました。

当時、ビル・ゲイツも、スマホ時代の到来を予測し、OS『パワードスマートフォン2002』を世に送り出していました。しかし、高いライセンス料が警戒され、普及には至りません。

ルービンはMicrosoftの隙を突き、OSを「無料」にして一気にシェアを確保することを考えます。OSを無料にするかわりに、アプリ販売や定額制クラウドサービスなどで稼げると踏んだのです。

そうして、たった8人でスマートフォンOSを開発し、世界中の携帯端末メーカーに売りこみました。

しかし、世界中のどのメーカーにも相手にされません。

サムスン社でのプレゼンでは、役員に言い放たれます。『我が社では、2000人がモバイルOSの開発にあたっている。あなた方はたった8人ですか。』どっと嘲笑が会議室に起こります。

ルービンは屈辱に耐えるほかありません。さらに、資金も尽き、廃業の二文字が現実性を帯びてくるのです。

その時、Google創業者のペイジと出会います。ペイジはGoogleがAndroid社を買収することを提案します。開発資金は心配しなくていい。好きなように開発してくれればいい。

ルービンは、Googleとともに歩む決断をしました。GoogleのもとでAndroidOS開発は急速に進められていきます。

iPhone発表

しかし、予想外のライバルが現れます。

2007年1月に、タクシーで移動していたルービンは、Appleスティーブ・ジョブズによるiPhone発表を耳にします。

ルービンは、思わずタクシーを路肩に停めさせました。『大変だ、俺たちの電話が発表できなくなるぞ』発表を最後まで見続けたルービンは衝撃を受けます。

洗練されたiPhoneに比べれば、開発中のAndroidは90年代のような代物でした。『もう一度Androidを作り直さなければならない』ルービンは決断します。

2008年9月、Androidの第1号機が発売されました。iPhone発売から1年余りの遅れで完成に漕ぎ着けたのです。

ITの主戦場は、パソコンからモバイルと移っていきます。覇権もMicrosoftの一極体制から、AppleとGoogleの2強時代へと進んでいきました。

新興勢力Facebook

ネット広告でも、新たな新興勢力が台頭します。Facebookです。

Facebookでは個人的なネットワークを通じて情報を集めることができます。もしも、そのネットワークが普及すれば、検索エンジンの必要性は大幅に低下します。

しかも、Facebookのビジネスモデルは、Googleのように開いたプラットフォームとは整合しません。むろし、Yahoo!のような閉じたプラットフォームとに調和するのです。

Yahoo!凋落

Facebookの買収交渉

検索エンジンに大きく水をあけられたYahoo!のセメルCEOもFacebookに目をつけ、買収に乗り出します。2006年7月のことです。

当時Facebookはまだ大学生用のソーシャルネットワークに過ぎません。しかし全世界に解放すればインターネットの世界で最も価値のある存在になることは明らかです。

当時Yahoo!の取締役会は12億ドルの買収額を承認していました。『あまりに厳しい額を提示するならば交渉は決裂する。とにかく交渉を成立させることが先決だ』と判断したのです。

セメルが面会したとき、FacebookのCEOザッカーバーグは若干22歳でした。セメルはザッカバーグを手なずけることができると確信し、8億5000万ドルの買収額を提示します。

交渉は決裂しました。

本社に戻ったザッカバーグは、ガッツポーズをして喜びます。

ザッカーバーグはFacebook売却には前向きではなかったのです。しかし、出資者の圧力から、Yahoo!が10億を提示すれば買収に応じることが取締役会で決定されていたのでした。

買収額が10億ドルを下回り、Facebookを手放す必要がなくなったのです。

Yahoo!のFacebook買収は幻に終わりました。

CEO交代

Yahoo!セメルCEOは、かつてのハリウッド映画のバイヤーさながらに、苦境に陥ったコンテンツを安く買いたたいては、それで収益を上げる手法を踏襲していました。

しかし、苦境に陥ったITコンテンツは、衰退しかありありません。一方、有力なITサービスには、プレミアを払ってでも買収することが不可欠なのです。

Yahoo!は、次第に負け組コンテンツのカオスに陥り、業績も悪化の一途をたどっていきます。

2007年、ついにセメルはYahoo!CEOを辞します。後任には、創業者のヤンが着きました。

Microsoftの買収オファー

ヤンが復帰して半年の2018年1月31日、Yahoo!が復活する最大の機会が訪れます。

MicrosoftのバルマーCEOからYahoo!買収のオファーが来たのです。

買収額は450億ドル、1株31ドルです。当時のYahooの市場価格は、1株19ドルに過ぎません。Microsoftの提示額は、その60%を超える信じられない額でした。

バルマーは、Googleに対抗するためにはYahoo!とMicrosoftが1つになることが必要であると考えていました。ITの戦場がパソコンからモバイルに移行し、MicrosoftはGoogleに大きく水をあけらていました。Microsoftはその資金力で、なりふり構わずGoogle打倒を決断したのです。

ネットバブルの時代には1280億ドルにも到達したYahoo!の時価総額も当時は300億ドルも切っていました。多くの幹部は、買収に賛成します。

しかし、ヤンはかつてのネットバブル時代の栄光に未だ引きずっていたのです。MicrosoftなしでもYahoo!は復活できると夢想を描きます。

2月11日、Yahoo!はMicrosoftのオファーを拒否します。

交渉は難航します。

5月2日に、バルマーCEOは、再度1株33ドルでオファーをします。対して、Yahoo!CEOヤンは、Yahoo!の価値が低すぎるとして37ドルを提示しました。

ついに、バルマーは手を引きます。

MicrosoftのYahoo!買収は幻に終わりました。Yahoo!復活の最後のチャンスが消滅したのです。

交渉決裂を受けて株価は急落します。

Yahoo!衰退

その後、Yahoo!は転落の一途をたどっていきます。

小さなスマートフォンの画面では、Yahoo!のサイトは迷路のように混乱を極めます。ショッピング、天気予防、ゲーム。Yahoo!には、何でもあるけど、必要なものは何も無い。かってのダイエーのような品揃えとなっていったのです。

ユーザーは、Yahoo!から急激に離れていきます。

一方、Googleは、検索エンジンのみならず、YouTube、Google Mapを、スマホ時代に最適化していました。しかもOSのAndroidも押さえているのです。

さらに、検索エンジンには、キーワードの予想変換機能も加えられていきます。Googleは、検索エンジンの市場で完全な支配体制を確立しました。

もはやYahoo!には凋落を押しとどめるすべはありません。2008年の末には創業者ヤンがCEOを辞任することになります。

その後も、多くの経営者がCEOに招かれるものの、復活を遂げることなく解任されていきます。

Yahoo!解体

2016年7月、ついに終焉の時期を迎えます。

携帯キャリア大手ベライゾン(VZ)は、Yahoo!の中核事業を約44億3千万ドルで買収します。それは、8年前にMicrosoftが提示した10分の1にも満たない額だったのです。

Yahoo!は社名を『アルタバ』に代え、中国のアリババやYahoo!Japanの株式などを管理する投資会社となります。

ネットバブル時代に、無敵を誇ったポータルサイトの草分け的存在Yahoo!。しかし、創業から23年あまりで事実上その歴史に幕を閉じることになったのです

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