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『ナビスコ』ブランドの世界的製菓企業モンデリーズ(MDLZ)

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今回は、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)を紹介していきます。アメリカ合衆国のイリノイ州の本社を置くグローバル製菓企業です。食品会社としては、ネスレ、ペプシコに続き世界第3位に位置しています。

モンデリーズ(MDLZ)の沿革

ナビスコの発祥

モンデリーズ(MDLZ)は企業の名称以上に、超絶ブランド『ナビスコ』が知られています。

ナビスコ社は、1898年にアメリカのビスケット、クッキー、クラッカーの主要メーカー3社が統合することから始まります。

1912年に『オレオ』、1934に『リッツ』とロングセラーとなる商品を発売していきます。

フィリップ・モリス・カンパニーによる買収

2000年に、フィリップ・モリス・カンパニー(現在のアルトリア)がナビスコ社を買収しました。

当時、フィリップ・モリス・カンパニーは、タバコ以外への多角経営のために、食品企業の買収を進めていました。

そのために、ナビスコ買収の15年前の1985年に、ゼネラルフーズを買収していました。

ゼネラルフーズは、インスタントコーヒーを主力とする食品企業でした。創業は、1895年にも遡ります。

日本では、味の素との合弁によるAGFブランドのインスタントコーヒーで知られています。

3年後の1988年には、クラフトフーズも買収していました。クラフトフーズは、チーズ製造からはじまる食品企業です。クラフトフーズも老舗であり、創業は1896年です。

フィリップ・モリス・カンパニーは、2000年に『ナビスコ』を買収したのち、傘下の『ゼネラル・フーズ』、『クラフト』と統合し、『クラフトフーズ』の名前で1社に統一しました。

2003年に、フィリップ・モリス・カンパニーは、社名をアルトリア(MO)として、ホールディングス会社となります。そうして、タバコ部門は、フィリップモリスUSAと、フィリップモリスインターナショナルに分割されます。

当時の米国ではタバコ訴訟が荒れくれ、フィリップ・モリス・カンパニーが支払う和解金は1450億ドル(16兆円)に達していました。その影響を米国内のタバコ事業に限定するために、分割したのです。

モンデリーズ(MDLZ)誕生

2007年には、アルトリア(MO)はタバコ事業の悪評が食品事業に波及することを懸念し、クラフトフーズをスピンオフします。

2012年スピンオフされたクラフトフーズは、商号をモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)に変更し、成熟した低成長部門の北米食品部門をクラフトフーズとしてスピンオフしました。

その結果、『ナビスコ』をはじめグローバルなお菓子ブランドが残り、世界的な製菓企業モンデリーズ(MDLZ)が誕生したのです。

モンデリーズ(MDLZ)の事業内容

現在の規模

現在、MDLZは、時価総額790億ドルにも達し、2018年度の売上高は259億ドルにも上りました。

世界展開

事業展開も、地理的な多様化にも富んでおり、160カ国にも及んでいます。決算レポートでは、4つの地域に分かれています。

それぞれの地域の割合を見てみましょう。

ヨーロッパ(2018年の純売上高の39.1%)
北米(2018年の純売上高の26.5%)
アジア、中東、およびアフリカ(2018年の純売上高の22.0%)
ラテンアメリカ(2018年の純売上高の12.4%)
先進国では、人口がそれなりに増加している北米ですら0.6%に留まっています。

しかし、新興国での成長率は5.7%にも及びます。新興国が成長の鍵といって差し支えありません。

事業ポートフォリオ

事業ポートフォリオを見てみましょう。

ビスケット(売上高の43.1%)
チョコレート(売上高の31.5%)
キャンディー&ガム(売上高の13.4%)
チーズ&食品(売上高の7.4%)
飲料(売上高の4.6%)

かつてスピンオフしたクラフトフーズはハインツと合併し、クラフトハインツとなったものの、苦境が続いています。

それは、クラフトハインツの主力商品であるチーズやナッツ類が、プライベートブランドに対する耐性に乏しいからです。消費者がチーズを購入するにあたり、気にするのはブランドではなく価格です。プライベートブランドとの価格競争という消耗戦に陥ったのです。

しかし、製菓について、消費者は気に入ったお菓子のブランドを繰り返し購入します。そのためブランドにより付加価値を高め、差別化を図ることができるのです。

MDLZは、売上げが10億ドルを超える12のブランドを抱えています。

それぞれの事業内容とともにグローバルブランドも紹介していきましょう。

ビスケット

MDLZは、世界のビスケット市場でトップシェアを擁しています。

主力商品は、ロングセラー『リッツ』と『オレオ』です。

日本では山崎パンが合弁でヤマザキナビスコを設立し、販売していました。

しかし2016年、山崎パンとモンデリーズとのライセンス契約が終了することになったのです。

それは、MDLZの世界戦略の一環に他なりません。主要ブランドを直接販売することで、その利益率を上げることが目的なのです。

MDLZと山崎バンとのライセンス契約は、改定のたびに5年から2年、1年と短縮されるとともに、ライセンス料も上がっていました。そして、最終的には、山崎パンは、MDLZから、製造のみの契約を提示されました。販売はMDLZが受け持つことは、下請に他なりません。

山崎バンは、MDLZとの契約を期限満了で終了し、ヤマザキビスケットを設立します。そうして『リッツ』や『オレオ』との類似商品を売り出すことになったのです。

『オレオ』には『Noir(ノアール)』、リッツに『LeVain(ルヴァン)』などが販売されました。2016年9月の販売シェアではルヴァン34.4%、リッツ65.6%とMDLZが優位でした。しかし、その後ルヴァンが逆転し、18年4月時点では、ルヴァン60%、リッツ40%となったのです。

商慣習は各国の文化に深く根ざしています。日本の小売との交渉力は、山崎パンが一枚も二枚も優位にあるのでしょう。また、Jリーズのナビスコカップもルヴァンカップへとかわることになりました。

日本では、MDLZの世界戦略は完全に失敗したといっていいでしょう。

しかし、世界全体でみるならMDLZの世界戦略は効果上げています。ビスケット全体で、3.4%の成長率に達しました。

チョコレート

チョコレート部門は、ビスケットとともに、MDLZの主要ポートフォリオです。世界のチョコレート市場でのシェアも一位につけています。

中でも競争力のあるブランドは、『キャドバリー』です。

もともと、キャドバリーは1824年創業のイギリスのチョコレート企業です。品質の高さからイギリス王室御用達にもなっていました。

2010年に、元クラフトフーズ(現MDLZ)がそのキャドバリーを買収します。キャドバリーこそが、MDLZのチョコレートブランドの中核に他なりません。

チョコレートの成長率は5.9%にも達しています。

キャンディー&ガム

キャンディーも世界シェアは1位です。ガムについては、2位つけています。主力商品は、ガムの『トライデント』、キャンディーの『ホールズ』です。

しかし、世界的に市場は縮小しつつあり、昨年の2018年は0.6%のマイナス成長でした。

飲料

飲料でや、インスタントコーヒーが主力商品です。

MDLZの源流となる『ゼネラル・フーズ』はコーヒーを主力とする食品会社でした。かつてのフィリップ・モリス・カンパニーが最初の手に入れた食品企業です。日本では味の素との合弁によるAGFとして知られています。

2016年、MDLZは、投資会社JAB傘下のオランダのコーヒー紅茶大手と合弁でJDEを設立します。

その際に、MDLZは、自社のコーヒーブランドをすべて移行することになりました。主なブランドは、日本のAGFでもお馴染みの『ブレンディ』や『マキシム』です。

そうして、ネスレに迫る世界シェア2位置の巨大コーヒー企業が誕生することになったのす。

MDLZの持ち株比率は、26.4%です。そのため、決算では売上げの4分の1の計測されています。しかし、企業規模から考えると、ビスケット、チョコレートに次ぐ事業ポートフォリオであることは疑いありません。

また、ドクターペッパーの13.8%の持ち株を保有しています。

もともと、ドクターペッパーは、もともとイギリスのチョコレート企業『キャドバリー』の清涼飲料部門でした。2008年に、キャドバリーは、ドクターペッパーをスピンオフします。しかし、その際に13.8%の株を残していました。MDLZは、その持ち株を承継しているのです。ただし、持ち株比率が25%以下のために決算に現れることはありません。

成長戦略

より成長を促進するためには、消費者への訴求力の高いブランドを揃えることが不可欠です。

そのために、収益性の低いブランドを売却するとともに、付加価値の高いブランドの買収を進めていました。

さらに、地域でのブランド発掘も進められていました。MDLZは地域での製菓ブランドも数多く保有しています。そこから、国際市場でシェアを獲得できるブランドを見つけ世界展開していくのです。

イギリスの『キャドバリー』も、MDLZにより世界展開したブランドです。イギリス王室の御用達にもなった高品質ブランドは、MDLZによりグローバル展開され、人気ブランドとして確立しました。

日本企業のグリコ『ポッキー』もMDLZによって、世界展開されました。

日本企業のお菓子は極めて品質が高く、世界展開できるポテンシャルがあります。MDLZはグリコと提携をし、『ポッキー』の世界展開をはじめています。

アメリカでは、『ポッキー』というブランド名ですが、欧州では『ミカド』という商品名で販売され、人気を博しています。

ファイナンス

売上高・キャッシュフロー・純利益

まず、10年間の売上高、キャッシュフロー、純利益のグラフをみてみましょう。

2012年にクラフトフーズをスピンオフしてからも、売上げは大きく下落しています。

それは、競争力の無いブランドを『選択と集中』により、売却したからです。収益性の向上から、売上げの低下にもかかわらずキャッシュフローは維持されています。

さらに、最近3年間では、売上げが横ばいにもかかわらず、キャッシュフローについては増加が認めらるのです。

さらに、直近の売上高・営業キャッシュフローの比率は、15%を超えているために、競争優位性が確保されたと判断したと考えることができます。選択と集中およびコスト削減が功を奏したといって差し支えありません。今後新興国の経済規模拡大により成長速度も速まることが見込まれます。

配当

MDLZの純利益の44%が配当金として支払われています。魅力的な配当性向であり、増配余地も十分です。

現在、配当利回りは、1.93%と高くありません。しかし、昨年2018年の増配率は18%であり、5年間平均の13%を上回りました。増配率についても極めて魅力的です。

しかし、利益の成長率は1桁に留まっています。このまま配当の2桁成長が続くなら、配当性向はますます高くことは確実です。

現在、経営陣は今後数年間にわたり積極的に増配することを確約しています。しかし、その後は、利益の成長を反映して配当の成長は鈍化することが予想されます。

結論

モンデリーズ(MDLZ)は製菓企業のグローバル企業であり、多数の強いブランド製品を持っています。そもそもスナック菓子の競争力は、ブランドに依存しています。そのため、MDLZは今後も安定的に成長していくことが予想されます。

しかし、その成長は1桁前半の低成長です。しかも、現在のPERは21とやや割高です。

現在の状況で購入する必要はありません。ただし、値下がりする場合には、ポートフォリオに加えて差し支えありません。今後、景気後退が来るなら格好の買い場が到来するかもしれません。

現在のホルダーは売却する必要はありません。バイアンドホールドと配当再投資で永久保有とすべき銘柄です。値下の場合には、買い増しを検討してもいいでしょう。

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