質問の回答

【質問の回答】レバレッジの効いたETFで積立投資をすべきか

投稿日:2019/7/22 更新日:

今回タカ様という投資家の方から、質問を頂きました。

内容はETFの積立投資についてです。

質問がきた記事を添付してみます。

目次

バフェットの推奨するS&P 500よりも『VTI』を推奨する理由

インデックス投資を行う場合にはどのようなファンドを選べばいいでしょうか。最近では、インデックスファンドへの投資はETFが主流です。そのなかで、もっとも推奨できるETFは、バンガード社の『VTI』です。 ...

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レバレッジETFでの積立の是非

タカ様からの質問

まず、質問内容を引用してみましょう。

鎌倉見物 様

はじめまして。投資歴20年・40代のタカと申します。
ETF購入手数料の価格破壊にともない、ETF積立を検討中です。
SPXLの積立投資について、相談させてください。

現状、次のように積立投資しております。
iDeCo(楽天全米株式)
NISA(eMAXIS slim 先進国株式)
ワンタップバイ(VISA、アップル、マイクロソフト、マクドナルド)

SBI証券のETF定期積立サービス・SBI住信の外貨積立を使って、SPXLを毎週積立するかどうか悩んでいます。
素直にVTIで行えば良いのですが、早期セミリタイアを実現できるのはSPXLではないかと思っております。
アドバイス頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

レバレッジETFのリスク

SPXLの積立については推奨いたしません。

もちろん、投資に正解はありません。結果的にSPXLに投資をした方が良かったということはありえます。しかし、未来は誰にもわかりません。その不確実な未来に対して、もっとも重視することはリスクを管理することです。

では、SPXLにどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。

まず、読者のためにSPXLについて説明してみましょう。

SPXLとは、ETF(上場投資信託)の1つで、アメリカの代表的な株価指数S&P500に3倍のレバレッジをかけられています。

確かに、レバレッジは株価が上昇しているときには、効果的です。

しかし、株価が下落し出すと、その利点は逆に作用し、急激な下落をひきおこします。

もしも、信用取引で3倍の取引を行うなら、株価が3分の2になったときに、強制売却され、資産はゼロとなります。場合よっては追徴も要求されることにもなります。

ただし、SPXLは、レバレッジをかけた上でETFとして市場で売買されています。そのため、完全にゼロになることはなく、追徴がかかることもありません。

しかし、買い手がつかなくなることもあります。その場合には、多くが償還されることになり、今まで積み立てていた資産を失いことになります。その場合に資産価値はほぼゼロになることもあります。

私自身は、そのようなリスクのあるSPXLを、長期の積立投資すべきではないと考えています。

景気後退について

現在の好景気になれてくると、不況について忘れがちになってしまします。

しかし、必ず景気後退の時期は訪れます。それが資本主義の宿命です。

しかも、現在格差が進行しています。格差が広がり、中流階級が崩壊した社会では、経済が停滞します。

かつての超大国ローマ帝国や、最盛期世界のGDPの30%を叩き出した中国の清帝国も、格差が進行することで国力が衰退し、滅亡への道を歩み出しました。

現在と1929年との類似性

現在ともっとも近い状態として1929年をあげることができます。

未曾有の好景気に酔いしれた1920年代の繁栄は、1929年の大暴落で突然終わりを告げました。

暴落直前でも、企業の業績が極めて良好で、株式市場はPER15に過ぎなかったのです。そのことを記載した記事を添付してみます。

【良好なファンダメンタルズとPER15のバリュエーションで崩壊した株式市場】ハイテク株式市場の死角 その1

最近の株式市場は、ハイテク企業が支配していると言っても過言ではありません。 人工知能や、ブロックチェーン、量子コンピュータ等の新しい技術を開発するハイテク企業は、これからも世界経済を牽引していくことは ...

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ネットバブルのときと異なり、ハイテク企業は凄まじい利益をあげているため、バブルではなく、暴落はあり得ないという主張もあります。

しかし、1929年の状況を理解するなら、PERが割高でないから安心と言えないことは明らかです。

1929年の暗黒の木曜日からはじまる大恐慌により、ダウ平均は最高値から87%も下落しました。

1929年と現在との金融政策の違い

もちろん、当時と現在とで大きな違いもあります。

現在の通貨政策では、暴落が起こったとしてもそこまで下落することはありません。

詳しく説明しましょう。

大恐慌当時の金融政策は、金本位制です。そのために、金融緩和政策をとれなかったのです。

金本位制では、通貨には金による裏付けが必要とされます。そのために、流通通貨量は、政府が保有する金塊相当額に制限されます。金塊には限りがあり、不況であっても通貨の流通量を増やす金融緩和政策をとることはできなかったのです。

その結果、景気回復が遅れ、株式市場へのダメージは一掃強くなりました。

そのことを記載した記事を添付してみます。

米国株投資では為替を無視してもいい理由【金本位制崩壊からみる通貨の脆弱性】

米国株に投資を行う場合には、為替という厄介な問題があります。 私たち米国株投資家は、為替にどのように対応していけばいいのでしょうか。今回は長期投資家の為替への対応方法について記載していきます。 目次 ...

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現在、通貨を貴金属と紐付けしているわけではありません。そのため、中央銀行の裁量で金融緩和を行うことができます。

そのため、大恐慌時のような90%近い株価暴落が起こることはまずないでしょう。

しかし、50%の下落といったリーマンショック程度の暴落は、起こってもおかしくありません。

結論

40%下落すれば、SPXLは、市場価格がつかなるなり、そのまま償還され資産価値はほとんど無くなります。

積立は、VTIあるいはVOOを推奨します。

個別株投資

個別株の割合

もしも、VTI以上のリターンを求めたいなら、レバレッジを効かすのではなく、個別投資にて対処すべきです。

現在、VISA、Microsoft、Apple、マクドナルドに投資されているとうことです。どれも競争力のある企業と思われます。

私自身は、他人のポートフォリオについての論評は行いません。個人が納得してつくることが大切です。

ただし、その場合でも、半分はVTIの積立とすべきです。個別株は半分以上にすべきではありません。

ワンタップバイ

また、個別株はワンタップにされているとのことです。

今後の個別株投資は、楽天証券、SBI証券、マネックス証券にした方がいいのではないでしょうか。

最低手数料が撤廃されたために、手数料が割高となるワンタップパイで個別投資を行うメリットはないと言っていいでしょう。

ただし、そうであっても、保有しているワンタップバイでの個別株を、キャピタルゲインを支払ってまで売却する必要はないと考えます。

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