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【連続増配52年の配当王】米国食肉大手ホーメルフーズ(HRL)

投稿日:2019/3/9 更新日:

バフェット銘柄であるクラフトハインツ(KHC)の暴落がありました。現在、食品製造企業に逆風が吹いています。背後には、消費者の嗜好の変化やプライベートブランドの台頭が上げられます。

しかし、そのような逆風の時こそ、優良な食品製造企業を安く投資することができるのです。

これを機会に、食品企業を紹介してみましょう。今回は、Hormel Foods(HRL)です。

米国食肉製品大手Hormel Foods(HRL)

52年連続増配の配当王

HRLは52年連続して増配している配当王です。配当王とは、50年以上増配を続けている銘柄を意味します。

HRLの事業内容は食肉製品という極めて地味なものです。しかし、常に世の中に必要とされている製品です。

このような地味な銘柄は、投資家を一夜にして豊かにはすることはありません。しかし、長い年月をかけて配当再投資を繰り返すことで、ゆっくりと着実の投資家に冨を増やしていくのです。

沿革

ホーメル(HRL)は、ジョージ・ホーメルにより1891年 ミネソタ州オースティンで設立されました。ホーメルの新鮮な豚肉製品は評判をよび、着実に発展を遂げることになります。

1926年には、世界初の缶詰ハムが発売されました。

1937年には、伝説的な豚肉の缶詰製品であるSPAMが発売されました。

ホーメルはそれ以降も数十年間成長を続け、現在では年間90億ドル以上の売上を生み出しています。現在、ホーメル製品は世界80カ国で販売され、従業員数は2万人を超えています。そうして、時価総額は現在約180億ドルに達しています。

製品のポートフォリオ

ホーメルは、肉食品を中心として、多様な製品ポートフォリオを形成しています。35ブランドがカテゴリーで一位か二位のシェアを占めています。 中でも主なブランドは、スパム、ジェニーO、スキッピーです。

スパムは、アメリカの家庭では欠かすことのできない豚肉を中心とした缶詰製品です。スパムという名はスパムメールという用語にも使用されています。スパム缶詰が、あまりにも目にする製品であることから、大量の目にする広告メールをスパムメールと呼ばれるようになっています。

ジェニーOは、七面鳥による加工食品のブランドです。アメリカの七面鳥には2大ブランドがあります。HRLのジェニーOは、その一つです。

日本ではチキンが主流で七面鳥を料理する習慣はありません。しかし、アメリカでは、クリスマスや感謝祭に、七面鳥を丸焼きが振る舞われます。アメリカ人にとって無くてはならない食材なのです。

最近では、食肉製品以外にも製品ポートフォリオを広げています。その一つがピーナツバター製品であるスキッピーです。

スキッピーは、2013年に、ユニリーバ(UL)から7億ドルで買収したものです。HRLは、そのピーナツバターでもアメリカで1位か2位のシェア争いを繰り広げています。

競合はJ.M.スマッカー(JM Smuckers)のJifです。Jifも2001年にJMスマッカーがP&Gから買収したものです。

現在、スキッピーは中国で売上No1のピーナツバターブランドであり、中国市場進出のための布石となっているのです。

このようにして、現在35のブランドが、カテゴリーで1位か2位をつけています。そのような強いブランド力が長期間の増配を可能にしていのです。

販売チャンネルのポートフォリオ

ホーメルの販売チャンネルは、下記のように3カテゴリーの分けられています。

① 小売り         54%
② フードサービス     37%
③ アメリカ国外、その他   9%

ホーメルフーズの製品の54%は、小売店からの売上をしめています。

ホーメルの製品は、ほとんどがカテゴリーのトップブランドです。そのような強いブランド力は、消費者の購買意欲を刺激します。小売店としても、キラーカテゴリーとなるホーメル製品は主要な陳列棚をしめています。小売り販売が主要なチャンネルであることはかわりません。

しかし、最近では、フードサービスを介しての販売網も広げています。そうして、長い年月をかけて形成かれたブランドの信頼は、フードサービスの顧客への拡張も可能となったのです。その顧客は、病院、学校や外食産業です。

小売とフードサービスは米国内です。現時点で、ほぼ米国内で完結していると言っていいでしょう。

米国外の国際部門は9%に過ぎません。逆に言えば、その米国外の市場にこそ開拓の余地があるともいえるのです。先ほども述べたとおりホーメルのピーナツバターブランドであるスキッピーは中国市場でのトップブランドを確立しています。

買収のよる成長戦略

成熟した市場

食肉製品がホーメル(HRL)にとって、食肉製品が中核であり続けることは疑いありません。それは、ホーメル製品がアメリカ人にとって欠かすことの出来ないブランドであり、その35ものブランドは1位か2位のシェアを占めているからです。

しかし、逆に成熟した市場であることから、成長の乏しい業界でもあるのです。今後の成長は買収に依存することになります。そのために、過去数年間におけるホーメルは多くの買収を行ってきました。今回その買収戦略を確認していきましょう。

製品ポートフォリオの多様化

第一の戦略は、製品ポートフォリオの多様化です。HRLは、今までのような食肉製品のみで成長を実現するのは困難です。それ以外の食品へ広げることが必要となったのです、

2013年に、ピーナッツバターであるスキッピーをユニリーバ(UL)から買収しました。

2014年に、栄養製品に多様化するために、マッスルミルクの製造元であるサイトスポーツ・ホールディングスを買収しました。

2016年には有機ピーナツバターで最も有名なジャスティンズを2億8600万ドルで買収しました。

フードサービスによる販売網拡大

第二の戦略は、フードサービス企業買収による販売チャンネルの拡大です。

多くのトップブランドを持っているホーメルは、小売販売で優位をしめてました。しかし、もはや小売のみでは成長することは不可能です。そのために、すでに成功しているフードサービスプロバイダーを買収することで、販売チャンネル拡大による成長を加速させる戦略を進めたのです。

2018年には、フォンタニー二・イタリアンミート&ソーセージを買収しています。

フードサービスからの売上は着実に増加し、現在の売上の3分の1を締めています。

新興市場の開拓

第三は、買収によるグローバル企業化です。現在、米国外からの収益はわずか9%にすぎません。今後、人口増加の著しい新興国でのシェア確保が成長の鍵を握っています。

最大のターゲットは10億人を超える中国市場です。

すでに中国ではピーナッツバターのスキッピーはトップシェアを確保しました。

さらに、中国の嘉興市に新しいスパム缶詰工場の建設が進められています。これにより、世界最大の消費者市場への足がかりを着実にしているのです。

また、南米市場で加工食肉製品の最初の足がかりを得るためにブラジルの食肉企業であるセラッティも買収しました。それにより南米での成長も期待することができます。

このように買収により、国際市場で販売を推進しつつあるのです。

選択と集中

第四の戦略は、選択と集中による利益率の高いカテゴリーへの集中です。

ミレミアム世代は多少値段が高くとも、自然食品を好みます。その嗜好に合わせ、製品ポートフォリオの入れ替えが進められています。

2015年にアップルゲートファームを7億7500万ドルで買収しました。 アップルゲートは、デリ肉、ベーコン、ホットドッグなどの天然および有機調理肉を生産しています。 そのブランドは、自然食品の食肉ブランドではでナンバーワンであり、ミレミアム世代から高い支持があります。

2018年10月31日には、高級食肉およびサラミ製造業者であるコロンブスの買収を発表しました。

このように有機調理肉や高級肉は高い利益率を見込めます。

逆に、利益率の低い豚肉加工部門の売却が進められています。

ファイナンス

売上・キャッシュフロー・純利益

売上、キャッシュフロー、純利益をみてみましょう。

極めて安定していることが理解できます。

不況耐性

ただし、グラフは2009年からの景気拡大があり、不況時での判断には足りません。そこで、2007年から4年の一株あたりの利益の推移を下記の記載してみましょう。

2007年の1株当たり利益は0.54ドル
2008年の1株当たり利益は0.52ドル(3.7%減)
2009年の1株当たり利益は0.63ドル(21%増)
2010年の1株当たり利益は0.76ドル(21%増)

リーマンショックが起こった2007年から2008年にかけて3.7%の利益減少しか認めることができません。しかも、2009年、2010年と20%を超える利益拡大を遂げているのです。

それは食肉産業という非常に安定したセクターでることが起因しています。 不況であっても、食べることを避けることはできないのです。

しかも、ホーメルには多くの強力なブランドがあり、35ものブランドが、そのカテゴリの中で一位または二位をつけているのです。

低い売上・営業キャッシュフロー比率

売上と営業キャッシュフローは8%に過ぎません。それは何を意味しているのでしょうか。それは、ホーメルのブランド力の高の商品であっても強い価格決定力はなく、激しい競争が繰り広げられていることを示しているのです。

そのような競争が背景から、ホーメルは極めて保守的な財務状態を維持しています。長期有利子負債は、純利益の6割に過ぎないのです。ピカピカの財務というほかありません。むしろ、慎重すぎるといっていいかもしれません。

配当

HRLは、52年連続増配の記録をもつ配当王であり、配当は極めて安定しています。さらに、最近10年間でも年平均10%を超える増配を行っています。

しかも、2018年の配当性向は41%に過ぎず、継続的な増配余地を残しています。配当については極めて安全と言う以外にありません。

結論

業績および配当は極めて安全です。52年間連続増配のホーメルフーズ(HRL)は、長期投資にふさわしい企業であることに疑いありません。

しかし、成熟した市場であることから、低成長を余儀なくされています。その上、現在のPERは24を超えています。割高と言うしかありません。現時点では購入を勧めることはできません。

今後、景気後退で多くの株が下落することもあるでしょう。その場合には、投資候補として検討する余地はあると思われます。具体的には、配当利回りが2%を超えるなら少しずつ分割して購入することが推奨されます。

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